前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第41回
アラビア商人の末裔でも計算は苦手

イラク人の実習生イスタブラックは接客が大好きで
ハイテンションでお客とやりとりしていました。
特に証明書写真が好きで、
多少曲がっていても大喜びでお客に渡すので、
お客さんもつられて喜んでいました。
可愛い性格で仕事仲間とも仲良くやっていけます。
でも三回に一回はお釣を間違えました。
彼女は加減乗除が苦手だったのです。
もしそうでなかったら
「このままここで働きたい」とイスタブラックに言われた時に
「では夏の間は働いてください」と言えたのですが。

私の知っているアラブ人は損得勘定はしっかりしているので
私には算数が苦手なのは意外でした。
でもそれとこれとは別物のようです。
ハンドワーカーの仕事からコンピューターの整備まで、
色々な事が出来る人がいました。
イラン人の男の人で数ヶ月間私の店で働きました。
機械の整備でも帳簿付けでも、
彼に教えれば何でも出来そうな気がしました。
でも掛け算が出来なくてびっくりしました。
そのイランの男の人は
運が悪くて教育を受ける機会が無かったのは知っていましたが、
掛け算ぐらいは常識かと思っていました。

掛け算の答えをしっかり暗記していない人は
私の会ったヨーロッパ人にもいることはいます。
インド人は掛け算の答えを
日本の一桁上まで暗記しておくらしいですね。
近所の写真屋のインド人は
仕入れ値、売値、利益率と、暗算した数字を早口で並べました。
値下げした時は売り上げは何%上がらなければやった甲斐が無い、
とかの数字もすぐに出てきました。
「日本人だけが算数に強いわけでないなあ、
いや、むしろ損得の計算ならこの人達の方がずっと上だな」
とも思ったりして私は、何となく商業の得意な国の人は
全員算数が得意なような錯覚を抱いていました。


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2004年9月13日(月)

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