前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第50回
神とダイヤモンド

一時期デンマークでは
ダイヤモンド投資の会社が派手に宣伝していました。
磨いただけでそれ以上は加工していない石と、
その製品証明とが一枚の紙にビニールで固定してありました。
それだけなら誰も見向きもしなかったかもしれません。
ところがそのダイヤは10年後に、2倍とか3倍とかの値段で
その会社が買い戻すという保障が付いていたのです。
買う人がいたらしいですが、これは明らかな眉唾ですね。
案の定その会社は10年立たないでに消滅してしまいました。
ダイヤモンドは人を迷わせるのでしょうか。

我々の乗ったイスラエルの観光バスは、
予定ではイエスの生まれたという
ベツレヘムと言う町に行くはずでした。
しかし再び町に不穏な動きが始まったので取りやめになりました。
後で知ったのですが、ベツレヘムはダイヤモンドが名物(?)で
妻は内心ガッカリしたそうです。
ところがその埋め合わせなのか、エルサレム見物の後に
予定にはなかったダイヤモンド工場見学に連れて行かれました。
私は「えげつなく値段が高い」と思うので
ダイヤモンドは嫌いです。 
でも妻は安く買えるならば
やっぱり一つ位は欲しいと思ったようです。
小さいけれど特上の石を
店員は皆に勧めて「石の値段だけで金の指輪に作るサービス」を
付けると言います。
やっぱりダイヤは利益率がやたらと良い物なんですね。
デンマーク人は誰一人として買うところまではいきません。

そこへ台湾から来たらしい中国女性の団体が入ってきました。
こちらは皆さんが買う気充分でショーケースに貼り付きました。
妻は孫悟空の頭に嵌っている輪を、もっと単純にして
継ぎ目の間にダイヤを挟む形のリングが気に入りました。
普通のダイヤモンドの指輪のイメージとは違って、
石が飛び出ていなくてシンプルで美しいデザインでした。
お勧めよりまだ小さいダイヤを買いました。
ロシアから移住してきたばかりでロシア語以外は解らない職人が、
二時間ぐらいで指輪にしてくれました。

しかし、その指輪はデンマークに帰って一年もたたないうちに
消えてなくなりました。
家に泥棒が入って
我が家の数少ない貴金属類を全部もっていってしまったのです。
ベツレヘムは行けなかったし、
新約聖書、コーランなども読みたいという気持ちにならないし。
どこまでも砂漠の神とダイヤモンドには
縁の無い我が家でありました。

最近読んだデンマークの新聞によると
「世界のダイヤモンドの四割は
アルカイーダを含めたイリーガルな流れの中で取引されている」
との事でした。
それを読んで、妻も
「これできっぱりとダイヤモンドとお別れできる」
と申してはおります。


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2004年9月24日(金)

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