前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第59回
まあいいか

救急病院では三人がかりで折れた私の左腕を引っ張って、
何とか骨を元の位置に固定しようと試みました。
痛くて脂汗が流れたました。
一度固定しましたが、
レントゲンで撮ってみるとまだ骨がずれていたので
もう一度やり直しました。
それでなくとも充分に痛いのに、
大男の救急医さんが三人がかりで再び思い切り引っ張りました。
再び死ぬ思いで歯を噛締めます。
二度目の写真でもまだ曲がっています。
「まあいいか。機能上は問題ない」と、言われて
それで治療は終わりました。
それ以来私の左手首は曲がって付いていて、
機能上は少し問題がありますが“まあいいか”

汗をびっしょりかきました。
そのあと二時間程病院で様子をみました。
でも両手首骨折の他は擦り傷くらいで大したことはないので、
タクシーを呼んでもらって家に帰りました。
妻は夜間学校に行っていて連絡が取れなかったのです。

麻酔が切れると、それから二日間は
妻が横を通って風が起きるだけて痛みが走りました。
“成る程
「痛風」という言葉自体はオーバーな表現ではないのだな”
と感心しました。
その二日の間、私の顔は血の気が失せて真っ白だったそうです。
でも個人企業はあんまり休んではいられません。
翌週には店に立ちました。
ギプスをしていても右手だけは何とか使えたので、
お客さんに手伝ってもらいながら接客をしました。
キャッシャーのキーは痛くて指では触れません。
その最初の出勤日に
一人のお巡りさんがニコニコした顔でやって来ました。
「その後の調子はどうですか?」
事故現場に駆けつけてくれた警官でした。
そういえば声には聞き覚えがあります。
お礼を言って
「まだ痛いけれどこれからはもう治る一方ですから」
と返事をしました。
私を撥ねた女性はやっぱり何も見ていなくて、
撥ねてから初めて気付いたそうです。
免許停止でもう一度試験の受け直しだそうです。

取り合えず仕事に復帰しましたが、
6週間後にギプスを外すと、
手のひらが小指と薬指のところで内側に折れる癖がついていました。
すぐにリハビリに通いました。
仕事の合間に週3回通いましたが、
何とか自由に動かせるまでには大分時間がかかりました。


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2004年10月7日(木)

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