前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第77回
野口英世とデンマーク

日本では新しいお札が出回る(出回り始めた)そうですね。
野口英世がそのお札に登場と聞いて“あれ?”と思いました。
と言うのは、私は偉人伝からは程遠い、
厳しい内容の野口英世伝を読んだことがあったからです。

借りた多額の学資を数日で遊びに使い果たし、
再び借金して踏み倒す、といった
色々感心できないことが書かれていました。
その後は出世欲の塊か仕事中毒の超人的モーレツ研究者ですが、
実績をあげていきます。
睡眠時間が短くて「日本人はいつ眠るのだ」と
外国の研究者に訝しがられる程仕事をしたそうです。
南米に向かう船の中で本を読んで言葉を勉強しただけで、
着いたらすぐにスペイン語で演説をしたそうです。
体力も才能も度胸もやる気もすごいですね。
ですからそれで終っていれば、
少年期に苦労した事と頑張って成功した点で、
子供のお手本になるのかも知れません。
手本にするには超人的すぎるような気もしますが。

私も少年の頃に漫画の偉人伝で読み(?)ました。
でも、不確かな実験で無理やり論文を完成させ、
人生の最後のところで功を焦って失敗してキャリアを汚しました。
ビールスを見ることの出来る顕微鏡が
まだ開発されていなかったので、
病気の原因が解からなかったのです。
そこで原因と実験結果を無理に結びつけた、
という程度のことですが、
科学者として、してはならないことでありました。
故郷に凱旋すると、
野口に多額の借金を踏み倒された男の老いた母が
「こんな物で騙されるな!」と言って
野口の贈り物を叩きつけたのでした・・・。
そういう内容の本だったのです。

さて、その本の中には、その昔
「1903年から1年間、野口英世はデンマークの研究所で働いた」
と書いてありました。
日本、中国、アメリカ、南米、アフリカ、と
色々な国で働いた野口ですが、
デンマーク人の人柄だけは大変感激したそうです。
野口という人は随分と難しい人だったようですが
「デンマーク人がとても気に入った」
という内容の文が残っていました。

そんなに前からこの国の人柄が良かったのなら
「人柄と福祉はあまり関係ない」
ということになるかもしれません。
又は
「福祉の実用化が可能なのは、こういう性格の人の住む国だ」
ということになるのかもしれません。
福祉と人間の関係はまだまだ分からないことがたくさん有ります。


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2004年11月2日(火)

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