前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第78回
寿司食いねえ

コペンハーゲンにも寿司屋さんがたくさん出来ましたが、
日本人が作っている寿司は少ないのです。
皮肉なことに日本人が食べて美味しいお寿司が、
ここでは今ひとつ人気が無かったりします。
新聞やインターネットのレストラン・ガイドで、
紫蘇巻きの評判が悪いのは仕方がないです。
でも、魚が新鮮なことまで評価が低い理由だったのは驚きました。
魚が硬過ぎるんだそうです。
多くの魚屋は週に一回だけ魚市場から仕入れてきますが、
そこから買う寿司屋のネタが柔らかくて美味しい、
と言われても困ります。
このように料理の担当記者達は
一般に味の解らない人が多いのです。

ミシュランのガイドのデンマーク編を利用すると
ほとんど失望することはないですが、
新聞のガイドでは何度も失望しました。
では誰が作っている寿司が評価が高いかというと、
我々が食べたのでは少しも美味しくない、
デンマーク人のコックが一番高いのです。
デンマーク人の寿司コックで私達が美味しいと思った人は
「デンマーク人は寿司の味が分らないからつまらない」と言って
別種の料理店に移っていきました。
テレビのコマーシャルでは若い女の子と叔母さんの会話があって
「ああ、今日の夜は寿司だった。やれやれ」
「それならあなた、何で食べたの?」
「流行なのよ」
というわけで、今は日本食が健康食としてのブームなのです。
スーパーでも寿司を売っています。
チュンに聞くと、彼の知り合いのカンボジアやベトナムの人も
寿司屋で握っています。それも「寿司なんか嫌い」な人達です。
店を持つ人も現れて、
それまで寿司など「作ったことは勿論、食べたことも無かった」
という人達が開店しています。
米の炊き方は知っているし、
後は料理もしないで生魚を乗っければ出来上がりで
「簡単、簡単、丸儲け」と思っているようです。
そんなのでも今のところはどの店も何とか続いているようです。
続いているどころか一日に200万円売れる日もあるそうです。

少し前のことですが、
日本人の寿司のテイクアウトの店でこういう話を耳にしました。
お父さんらしいデンマーク人が五、六歳の男の子を指して
「うちの子がとても食べたがるから買いに来たんだ」
と言っていました。
子供が好きになるなら、
寿司は単なるブームでは終わらないで
デンマークに根付くのでしょうか?
その頃には、私達が食べても美味しくなるのでしょうか?


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2004年11月3日(水)

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