前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第95回
飯の種は家族の物

ガンビアのホテルの中庭を通って
浜辺に向かって道が続いています。
その朝もそこを通って海に行こうとする、
中庭で一人の老人が壁に向かって祈っていました。
その方角がメッカなのでしょう、壁には何か書いてありました。
壁と老人の間の石畳が通り道なのですが、
私達は当然ですが邪魔にならないように後ろを通りました。
帰りに同じ道を通ると
意外なことにその老人に呼び止められてお礼を言われました。
一心にお祈りしているようでしたが、ちゃんと見ていたのでした。
「ヨーロッパ人は間を通っていく」とも言っていました。
旅行者はリラックスしているし、
何にも気のつかない人も多いので故意に無視したとは限りません。
しかし「何でわざわざ通り道で祈るんだ」と思って
道の通りに行く人もいるだろうと察しが付きます。
自分の方が正しくて権利があると思った時に
思ったとおりする人達は、
お互いが自分に権利があると思った時はやっかいです。

ホテルを一歩出ると必ず誰かが近づいてきて「友達」になります。
そしてその後は、何かを「ください」ということになるのが
100パーセントでした。
でも、向こうとしては
私達が事情を知らない最初の2、3日が勝負で、
私達の肌が日に焼けてくる頃にはそれが激減します。

浜辺の近くの広場をぐるりと囲んで、
みやげ物を売っている店が幾つもあります。
どの店を見てもだいたい同じ様な物が並んでいて、
値段も同じで値切っても少しも負からないのがおかしいです。
象の模様のろうけつ染めが良かったので、
色違いがないかと一軒の店で尋ねると、
向かいの店に走っていってすぐに持ってきました。
その様子が何かやはりおかしいので聞いてみると、
この広場の店は全部が一つのファミリーの物なんだそうです。
そういえば浜辺のレストランも、
お客の影もないままにずらりと並んでいましたが、
持ち主は全員親戚だと言っていました。
バスに乗って市内見物をした時も、
衣類を売る店の持ち主は大統領の何番目かの奥さんで、
その方面を彼女の親戚で固めていました。

「友達になろう」と言ってきた若者達は
「職に就くためには2か月分の給料にあたるお金を
担当者に贈らなければならないんだ」と言っていましたが、
多分それに近いようなことは有りそうです。
極貧国のガンビアでは
大家族で少ない収入元を抑えているのでした。


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2004年11月26日(金)

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