前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第104回
ヴァン・ゴッホの死

画家のヴィンセント・ヴァン・ゴッホを助けた弟テオの孫で、
同名のテオ・ヴァン・ゴッホが先月暗殺されました。
映画監督のテオが
イスラム教を侮辱した映画を作ったというのがその理由です。
暗殺のためにヨーロッパ中がその映画に注目することなり、
デンマークでも20分程の彼の短編を
テレビで見ることが出来ました。

映画はオランダの回教徒の女性の書いた本を基に作られたもので、
かなり挑発的ではありました。
背中を鞭打たれて倒れた女性の素肌には、
全身にコーランの言葉が書かれて無数の鞭の痕が有ります。
薄物の黒いイスラムのマントの下の、
何も着ていない体にコーランの言葉が書かれているのが
透けて見えました。
6歳で割礼され、
見たことも無い男と強制的に結婚させられてみると、
相手は暴力を振るう男でした。
その夫の兄に強姦されて家族の者に訴えても、
その兄と家の名誉のために沈黙を強いられました。

その語りの合間に
「おお神よ、全能なる恵み深き神よ。なぜ・・・?」
という問いが挿入されます。
この女性はこの本を書いた後、
生命の危険を感じて地下にもぐる生活に入りました。
この番組の後で
回教徒を交えたテレビ討論会がありました。
「殺されてもそれは自分のせいだ」という
イスラムのインテリ女性が目立っていました。
「言論の自由は私達の世界で最も重要なもののひとつです」
テレビ討論会に出席した大臣の言葉でした。
民主主義は
誰かが自分達の考えが「絶対の真理」だと言い出したら、
機能しなくなります。
1960年にデンマークでは若い女性の歌手が
「神を追い出すのはメチャ難しい」と歌って
牧師は「神の侮辱」と叫びましたが、
歌手としてテレビに生き残りました。
2004年11月、
テオ・ヴァン・ゴッホは回教の神を侮辱したかどで、
ピストルで打たれ喉を掻き切られて殺されました。
「原理主義者はオランダにいるムスリムの5%にすぎません」と
オランダ政府は言いますが、その5%とは4万5千人なのです。
1千6百万の人口に90万人の回教徒がいるそうです。

デンマークには回教徒の政治家が何人もいますが、
多くは回教の掟をデンマークの国法の上に置きます。
そうなると「政治の宗教からの自由」はまったく有りえず、
しかも「我等が神以外に神無し」なので対話が難しいです。
常識があって尊敬できる回教徒の政治家もいるのですが
少数派です。
そういう人は始終脅迫されているそうです。


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2004年12月9日(木)

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