前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第140回
デンマークで死ぬとどうなるか

ムリエルのお父さんは、
自分の育ったフランスのブルターニュ地方の見晴らしの良い場所に、
お墓を作るつもりでいました。
しかし、ムリエルの姉さんは
「そんな遠い所に墓参りに行きたくないですね」
と言ったので、お父さんは又しても鬱状態になりました。
その次の候補のプロヴァンスのお墓は、
公道のすぐ傍にあって、日陰なので、
お父さんはそれを考えるとどうも楽しくないのでした。
しかし、お父さんは
“人がたくさん通るなら、楽しいかもしれない”と思い直して
立ち直ったそうです。

デンマークでは死亡すると、誰でも教会に届けることになります。
デンマーク教会の会員は、
牧師さんや教会の使用料などのセレモニー料は無料です。
教会の会員でない人は墓地にあるチャペルを使い、
葬儀屋にまかせます。
棺や飾りのセットは5万円ぐらいからありますが、
最低のセット代くらいの補助は会員でない人にも出ます。
1持間ぐらいでセレモニーが済んで、埋葬して、
全てが終るまでに2時間と掛かりません。
服装はさすがに黒っぽい人が多数派ですが、それもまちまちです。
セレモニーをまったくしないで、
火葬にして共同墓地に行くこともできます。

墓地は借りているだけなので、
棺に入って埋められると20年で処分されて、
次の人が替わりに入れるようになります。
でもこれは、遺族の意思で延長することが出来ます。
伝統的なものは隣との仕切りがあって、
遺族が花を飾り掃除をする普通の墓地です。
骨壷の場合は、お墓を借りられる期間は一応10年だそうです。

その他、墓地はいくつか種類があります。
一番簡単なのは“灰の共同墓地”
又は“無記名共同墓地”という名の墓地です。
墓地といってもそこには、緑の芝生があるばかりで、
誰の墓がどこに有るというようには分らないのです。
土が酸化すると苔が生えるので、
アルカリ性の灰は芝生を美しく保つ足しにはなります。

私の家の墓は日本に有るのですが、
私達はデンマークで、この最後のすがすがしい、と言うか、
一番簡単なタイプを選ぶつもりです。


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2005年1月27日(木)

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