前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第170回
仕事場は酒飲み天国だった

デンマークには
カールスベルグ、ツボルグといったビール会社があります。
その他の小さい会社もいくつもありますが、
個人でビールやワインを作るのも規制されていません。
地下室などで、大きなガラスのビンに葡萄の液を入れて、
ワインを発酵させているのを見かけます。
最近まで酒税は大変高かかったのです。
ホーム・パーティーが多いので、
そんな時にはその家のワインが味わえます。
でも「大変美味しい!」というのには当たったことはありません。
美味しいワインを造るのは難しいと思いますが、
上出来なワインは自分達で楽しむのに回すからでしょうか
デンマーク人のパーティーでは
「最後の1本のビールを誰が飲むかが大きな関心事だ」
とデンマークの友人が言っていました。
「皆酒好きだ」と言うわけで、
意地汚い酒飲みが多い、ということなのでしょうか?

以前はビール工場では、
働いている人はいくら飲んでも構わなかったのでした。
仕事中でも何でも、
いつ飲んでも、いくら飲んでもかまいませんが、
ただし、酔っ払ったら追い出されてお払い箱でした。
昔、知り合いの若い女の子は
「酔っ払って追い出されたことがある」と言っていました。
彼女はお酒に弱いのを忘れて、
つい皆につられて少しだけ飲んだら、
酔っ払ってしまったということでした。

昔、私が勤めていた学童保育園は、子供の遊び場が主体でしたが、
誰でも訪れることが出来る公園の中にありました。
夏の公園には、毎日のようにやって来て、
備え付けのベンチで時を過ごす大人もいました。
乳母車を押して来て、子供達の遊ぶ脇で日光浴をしながら、
お喋りをするお母さん達も見られました。
その中の一人で、時々やってくる浮浪者のような身なりの、
アルコール中毒のおじさんが、いました。
ほとんど喋りませんが、口を開くと言葉遣いも荒っぽく、
目つきも良くありません。
その彼が、ある日、学童保育園のリーダーのオーレに言いました。
「俺が酔っぱらって迷惑をかけそうになったら、
ここから追っ払ってくれ。頼むから」
そういう人達でも紳士の国でした。


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2005年3月10日(木)

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