前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第183回
日本はどうなっているんだい?

飛行機で隣に座り合わせた大きなオーストラリア人は、
飲み物のサービスワゴンが通る度に、
ジュースと水の両方を注文しました。
同時にアルコール飲料を受け取り、
合間にそれ以上に追加注文してドンドン飲んでいました。
人の良さそうなその若者と、あれこれおしゃべりをしていましたが、
彼は突然、「日本はどうなっているんだい?」と言い出しました。
現在の経済状態を指して、
同情しているような、少々揶揄するような感じがありました。

私は答えました。
「ジャーナリズムはオーバーだから、
ある時は“ジャパン アズ ナンバーワン”だったけれど、
今は目茶目茶に書かれています。
どちらもそれ程のことでもないでしょう」
笑顔だった彼が真面目な顔に変わりました。私は続けました。
「こんな時期があった方が、可愛げがあって良いではないですか?
ヨーロッパも10年間くらいはひどい状態がありましたよ」
1つの国があまりにも勢いがあるのは、
あまり良いことばかりではなくて、
他所の国に恐れられるとか、まあ色々あります。
貧しくておとなしいと、可愛げはありますが相手にされません。
貧しくて図々しいと、「こわもて」みたいなものですが、
国際社会では一目置かれてそれなりの尊敬をうけます。
自己宣伝の苦手な、控えめな国にとっては、
世界とはそういった嫌なところです。
対外的には、全部よろしい、ということはなかなか無いもので、
驚異の経済発展で、日本は嫌われたり、敬意を受けたりしました。
1番でなくても、日本には清貧を誇る伝統だってあることだし、
人並みに失敗して、今度は好かれる時期ではないですか。

さて、その不況の時期のヨーロッパから見ていると、
日本は使いみちに困るほどお金が余っているようでした。
やっぱり使い道に困って、株も土地の値段も、ものすごく上がり、
別の宇宙の出来事のようでした。
その頃は、日本に帰る度に物価が上がっていて驚きましたが
“収入が上がっているのだから仕方が無いのか”という感じでした。
しかし、日本で見た、
デンマークでは普通の広さの中古のマンションが、
2億円で売れると聞いて、首を傾げました。
不動産屋が友人にその値段で売らないか、と言ったそうです。
質の良いマンションなのでしょうが、
その頃不況のデンマークでは、同じぐらいの場所と建物なら
2千万円ぐらいの感じでした。
いくらなんでも差が有り過ぎました。


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2005年3月29日(火)

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