第215回
男性を追い越す女性の給料

デンマークでも、平均給料は、やはり女性より男性の方が上です。
大きな企業の社長も、圧倒的に男性のほうが多いそうです。
しかし、ＩＴの分野では男性より、
女性の初任給の方が高くなったそうです。
これは2004年に初めて起ったことです。
女性の初任給の平均が10％以上がり、
男性は５％強の上昇にとどまったので、総額で逆転しました。
女性の場合は、他の仕事に就いてからＩＴに参入するせいか、
男性よりも平均年齢が少し高いからだろう、とのことです。
それで、仕事をした経験が、初任給に反映されているようです。
しかし、ＩＴ全体で見ると、働く女性の割合は低く、
女性の給料の方が少し低いそうです。

ＩＴの分野も何年か前のような高給ではないですが、
全体の昇給率は2003年が５％、昨年が６％と上昇しています。
ＩＴで10年間働いた女性の給料は月60万円程で、
男性はそれより３万円ほど多いそうです。
産休と、子育てのブランクの期間があるからだろうとのことです。
そして、そういったハンディにもかかわらず、
女性は50歳前後になると追いついて、
男性との給料の格差は無くなるそうです。
ＩＴの分野は、女性の中でも優秀な人が残るのか、
能力において男性より勝っているのでしょうか。

デンマーク政界は女性の進出が目立ってきました。
長い間デンマークの最大政党だった社会民主党の支持率が下がり、
政権を失って５年になります。
社会民主党は、選挙を、その場限りの政策でしのいで勝ち、
人気取りの政策の実行で、次の世代につけを残してきました。
昨年の選挙でも支持者は下がり、
危機感をもった社会民主党は党首を、党の選挙で選び直しました。
そして政治家としてのキャリアも短い、
38歳の女性の党首が誕生しました。
彼女はさっそく、党の議員全員にアンケート用紙を配り
「学校並みになったな」と、高齢の男性議員を苦笑いさせました。
それから、思い切った年金改革の政策案を出して、
党内の討論を開始させました。
そして、党の首脳の半数近くを、若い女性と入れ替えました。
男性幹部をクビにして、
幹事長は32歳、副党首に27歳と38歳の女性が入りました。
これでめでたく政権が取れたら、
もちろん彼女達の収入も上がりますが、
社会民主党内での地位はすでに対等以上です。