前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第234回
定年過ぎてからの仕事

デンマーク人は、一般には定年でなくても、
会社や自分の都合で働かなくなりますが、
年金を受け取れる年齢は、67歳です。
ただし、仕事に就いていた人は、62歳になると希望退職して、
国から失業保険程度の額を、受け取れるようになっています。
額は職種によっても違いますが、普通は年金の倍以上はあって、
退職金の分割払いのようなことを、国がやるのです。
それは良いとして、この制度を導入した、
当事の民主社会党政府は、
希望者の数をあきれるほど少なく見積もったのでした。
やはりその年齢では働きたくない人が多くて、
毎年予算を大きく越えています。

しかし、デンマーク人でも、
中には年をとっても働き続けたい人々もいます。
コイン・ランドリーカフェや、トレンディなブティックの集まる、
短い通りに、あたりの雰囲気にそぐわない変わった店があります。
そこだけは、モダンな通りに不似合いにくすんでるのです。
店の窓には、見たこともないような、
変わった室内履きが展示されています。
よく見ると、布の模様は、
カーテン生地や夏服のような柄で出来ています。
靴底は、ゴムを刷毛で荒く塗りつけたような仕上げです。。
狭い店の奥ではお爺さんが、
布切れや紙の箱に埋もれて何か仕事をしていました。
そのあたりが、今のように新しくなる、かなり前から、
お爺さんはこの店をやっていたそうです。
以前、その界隈は、どうしようもない古道具を売っている店とか、
この靴屋のような感じの店が集まっていた場所でした。

お爺さんは、靴の材料は買わないのです。
二級品などの端布を工場からただで貰ってきて、
靴を縫い、ゴム底を取り付けるのでした。
センスも品物も良さそうに見えない、
そんな店だから”儲からない”ということです。
でも、お爺さんは儲からなくても幸せです。
毎日、その半地下の小さな店で、
オリジナルデザインの靴を縫って、
お客さんとお喋りしているのでした。


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2005年6月8日(水)

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