前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第236回
倒産ライダー 違法編

花屋、八百屋、キオスク、掃除屋、床屋、
食料品店、レストランなどが、
デンマークに住む外国人のやっている職種の代表です。
人口の割りに、起業家の数が多いようです。

会社を自分で始めるのはお金を儲けるためですが、
外国に住んでいると、それしか生活の手段が無いこともあります。
言葉の問題や教育、習慣の違いがあり、
コネも効かない、年もくって誰も雇ってくれない、
という現実があります。
失業保険や生活保護は嫌だ、となると
「起業するしか仕方が無い」ということになります。
こういう人達が、コペンハーゲンの街に活気をつけて、
食文化を広め、世界の国を身近なものにしています。

ところが、お金を儲ける為には
「どこまでの手段が許されるか?」という線が
デンマーク人と違うので問題がおこります。
モラルは人によって違いますが、国によっても違います。
税金に対する考え方も、税金の率も大いに違います。

私の店の向かいに、アラブ人の八百屋兼雑貨屋があります。
この店は典型的な持ち逃げ会社らしく、この10年の間に、
持ち主が多分5人以上替わっています。
店を買い受けたら、短期間で出来るだけ稼いで、
帳簿上は倒産して、税金などの借金から逃れるのだそうです。
デンマークの税金は、消費税を入れると約60%と大きいので、
大変逃れ甲斐があります。
1年間働いて、期限の翌年6月までに税務署に書類を出します。
デンマークの税務署は、のんびりしていました。
それから又半年以内、調査の入る危険は低いので、
店を潰して知り合いに安い値段(帳簿上)で売ってしまいます。

同じことを次の人がやって、次々と持ち主が代わってしまいます。

こういった小さな会社では普通は、
潰れると借金は個人にまで責任が行きますから、
一度しか使えない方法です。
もう一度起業しようとしても、
税務署を初め債権者が黙っていないそうです。
そこで、親類の内部で、名義だけ変えた、
たらいまわしなどの手があるようです。
人件費の多い職種は、失業者を闇で使うと、
雇い主は安く雇い、働く方は失業保険を貰いながら無税、
ということでやっています。
掃除会社が典型的で”掃除マフィア”と呼ばれています。
これも外国人の会社で、こちらも倒産したり、
借金を残して逃げ出したりしますが、
会社の平均寿命は少し長いようです。


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2005年6月10日(金)

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