前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第239回
星から逃げる男達

私達がヨーロッパで旅をする時には、
ミシュランのレストランガイドを一応目を通して、
書き抜いておきます。
時間が無ければ仕方ないですが、
たまたまホテルがミシュランのお勧めの店の傍なのに、
知らなくて行かないのは残念です。

「ミシュランガイドに載るだけで、
年平均の売上高が飛躍的に伸びる」
と、元調査員が書いた「裏ミシュラン」にありました。
ちなみに作者は本の中で
「二つ目の星を手にいれようと頑張っている
一つ星のレストランに行くといい」と勧めています。

以前、コペンハーゲンでただ一軒、
ミシュランの星を2つ貰っていたレストランが、
星を1つ失いました。
星を二つに増やしたそのレストランの二人のコックは、
その店を辞めていたのでした。
理由は「二つ星の重圧から開放されたかったのです」
ということで、勿体無いです。
緊張してハイテンションで働くのが好きではないようです。
贅沢だとか、根性が無いとか言われてしまうかもしれませんが、
いかにもデンマーク人らしくはあります。
それから少し後、新しく出来た別のレストランが、
たちまち頭角を現して、入れ替わって二つ星を貰いました。
新聞に出てきた二人の持ち主兼コックは、例の二人組でした。
そして、なんと二人は、そのインタビューで
「私達のレストランは売りに出して、もう買い手が決まっています」
と語りました。

最近のデンマークの統計では、
自分の仕事が嫌いなのは何とたったの2%で、
仕事は良いが職場が嫌なの人が6%だそうです。
これは異常な満足度で、
統計の取り方に問題があるのかもしれませんが、
とにかく仕事に満足している人は多いようです。
その割には転職する人が大変多いのですが
「満足しているが、
いつまでも同じ所に入るより、他の職場も経験したい」
ということかもしれません。
一般的に同じ職場にいるよりも、
転職した方が給料は上がるそうで、
そのために転職する人もいます。
まあ、デンマーク人は
「文句をよく言う割には、比較的仕事に満足している。
又は、文句を言って、職場を自分達のやり易いように変えている」
ぐらいは言えるかもしれません。

レストランが売れたので、一人は半年かけて、
世界旅行に出かけるそうです。
もう一人は、再び手に入れた二つ星を捨てて、
ブラッセリを開くそうです。


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2005年6月15日(水)

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