前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第240回
ノキア?日本の会社は嫌だよ

昨日は、二つ星から逃げたデンマーク人コックの話でしたが、
時間に追われるより、ゆっくりと働きたいという人は多いのです。
能力があっても、やりがいの有る仕事でも嫌だ。
大きな期待を背負って厳しく働くのは、高収入でもゴメンだ、
というのです。
もちろん、やりがいが有る方が良いという人はいますが、
自分のペースでやりたいというデンマーク人は大変多いようです。

私の妻がフィリップス・デンマークに勤めていた頃、
調子の悪いその会社を買い取る会社が現れました。
フィリップスの開発部にいた同僚も上司も、
誰一人その会社の名前も聞いたことがないのでした。
「ノキア」という会社の名前を聞いて、
それは「日本の会社だろう」と言う人がいて
「そうだ、そうだ」となりました。
それで「日本の会社は厳しいだろうなあ」となりました。
それを苦にしたのか(?)、
直接の上司はフィリップスを早々と辞めていきました。
その他、多くの人が辞めていきました。
特に、どこでもやっていける自信の有る、
優秀な人から先に辞めていきました。
ノキアは「日本式経営を目指す」と表明していたそうで、
「当たらずといえども遠からず」かもしれません。
しかし、実際はそんなこともなかったのでしたが、
とにかく、優秀な人がいなくなって、
残った人は益々心もとなくなりました。

ノキアの方針などの説明がありました。
「色々なボーナスが出ます、会社をどんどん大きくします。
コペンハーゲンを世界戦略商品の開発部にします」
と、言われましたが、大風呂敷の眉唾に思えました。
デンマーク人は一般に、人の話に簡単に乗ってきません。
携帯電話の1つのモデルの目標が”100万個”と聞いて、
とても本気とは思えませんでした。
その頃、フィリップスでは1つのモデルは、
たったの5千個が標準だったのです。

後から考えると、本当にその頃が、
ノキアが世界一の携帯電話会社に伸びていく時期でした。
各種のボーナスは本当に出たし、すべて予告通りになりました。
しかし、開発部を受け持ったコペンハーゲンでは
「こんなに派手にやってはそのうち潰れるのでは無いか?」
と長い間心配していたのでした。
古くからいる社員は、たいていの人が、
最初の頃提供されていたノキアの社内株を買い損なって、
お金持ちになりそこないました。


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2005年6月16日(木)

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