前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第245回
儲かるお店、損するお店

デンマークのレストランは、1晩1テーブル1組が基本で、
回転率が悪い・・・と、いうより
そもそも基本的には回転しないのです。
私達が6時の開店直後に行くと人影はまれで、
7時過ぎてからやっと席が埋まり始め、
2時間から4時間もかけて食事をします。
キッチンが閉まるのは早いので、
そうなると次の客が入る余地はほとんどありません。
日本でもフランス料理屋などでは同じなのでしょうか。
とにかく、1回転しかないのが普通ですから、
値段を安くはできないし、店もなかなか儲かりません。
デンマークでは寿司屋でも同じ現象がおきます。
そこで、小さなお持ち帰り専門の寿司屋の方が健闘していて、
意外に利益が大きかったりします。

私の知人のやっていた、比較的客の入りが良い日本食店が、
コペンハーゲンの街中にありました。
週末などは予約なしで断わられる程、人気がありました。
寿司もあれば、手打ちうどんも出して大変です。
日本から出張で何度か食事に来た人が、
その狭くない店が、たまたまその時満席なのを見て、感心して
「いったい何回転するんですか?」と尋ねました。
「何回転もなにもあなた、1回こっきり」と言われて、
お客さんは目を丸くしました。
そして、しばらくしてから独り言をつぶやきました。
「・・・損してますね」

一方、町外れに、私の友人が奥さんと二人だけで、
テイクアウェイの寿司屋を始めました。
20平米も無いような非常に小さな店です。
しかし週4日開けて、開いている日は、
前述の街中の店と同じくらいの売り上げが有るそうです。

人件費や家賃が5分の1とすると、
お持ち帰りの値段はそんなにも安くないので、
利益が桁違いに多いということになります。
ちょっと見た目は吹けば飛ぶような店ですが、
そういうわけで、多少不況の風が吹いたとしても、
この店は飛びません。
見かけとは違って、確実に”じつ”を取っているのでした。


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2005年6月23日(木)

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