前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第275回
飯の不味い国は信用できない

20年ほど前、世界の遊び場会議で、
私はデンマークの代表で
他の学童保育園代表とロッテルダムに行きました。
1日はオランダ政府がバスを出してくれて、
遊び場を見学できるというので、私も参加しました。
何台かの小さなバスにい各国の代表が分乗しました。

見学も半ばで、ボランティアの学生ガイドは
「何か質問はありませんか?」
と、なんとかサービスしようと笑顔で尋ねました。
こういう時は、普通は色々質問する人が必ずいるのですが、
たまたまそういうタイプはいなかったようです。
質問を期待してあまり長い間車内を見渡すので、
私は何も質問がないのも悪いような気がしました。
そこで、若いボランティアに表敬の意味で、
返事のし易いと思われる質問をしました。

「オランダの農業はどれ位を政府から援助されているのですか?」
効率の良い農業国のオランダなら、
他の国と違って政府の援助を受けていないだろうと
早合点したのです。
ところが、一瞬のうちに学生ガイドの顔が強張りました。
”悪かったかなあ”と思いますが、もう遅いです。
私は例によって、非常に不適切な質問をしたようでした。
若者は知らなかったのか、それとも微妙な質問だったのか、
「今は問題ないです」と、わけの分らない答えをしました。

現在EUでは農業収入の33%が政府の援助だそうです。
デンマークもオランダの農家も、
2004年度予算の補助金獲得額はかなりの多い方になります。
私がオランダに行った20年程前は、
EECの農業が政府から受ける援助は平均41%ということでした。

イギリスがEUを問題にしているのも、
農業への援助額の大きさです。
農業国フランスのシラク首相は
「あんな不味い飯のイギリスの言うことなど信用できるか!」
と、八つ当たりしました。
これには笑ってしまいました。
シラクが食べて美味しい国は少なくて
「どこも信用できん!」ということになりかねません。
フランスもEUからの援助よりは支出金の方が多いのですが、
農業は政治的に微妙な問題のようです。


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2005年8月4日(木)

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