前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第276回
わたしが決める!教育は

その昔、日本の学校の科目に「道徳」と、があると知って、
寮で私と同室だったデンマーク人の若者は笑いました。
モラルを学校で教えているというのが、奇妙なんだそうです。
確かに、その頃のデンマークは
学校の授業に道徳教育がなくても道徳的でした。
犯罪の少ない国ということでは
「荷物をどこかに忘れても、戻ってくればそのままそこにある」
と、日本の旅行案内にも書いてあるくらいでした。
今なら置いた荷物は盗まれるし、第一爆発物と疑われて、
付近の交通は止まり、荷物は破壊されます。

犯罪対策ではありませんが、
デンマークでも道徳教育を小学校で行おう、
という動きがでてきました。
なにしろ先生の言うことを聞かない子が多くて、
授業の妨げになるのです。
70年代あたりの若者達が親や教師になり、
教える方がオーソリティー嫌いなので、
厳しくできないのだそうです。
「さて、今日は何の授業をしようか?」
と授業の前に生徒に尋ねる学校もありました。
しかし、授業はうまく行かなくなってきたので
「集団に対する個人の義務」といったことを学ぶ、
「道徳」の授業を始めようということです。

日本に住む若い姪に最近の道徳の授業について尋ねると
「学校の道徳教育の時間は、
他の授業と違って自分で考えるので面白かった」
と、答えてくれました。
こちらの教育の目標のひとつは「自主独立」なので、
自分で考えて考えを発表する授業は普通なのです。

近所の回教徒が保育園に2歳半の女の子を預けました。
早速覚えてきた言葉が「わたしが決める!」だったので、
父親はビックリしたそうです。
「私の国では親が決めるのです」
と、お父さんは娘の先行きを考えてか、当惑していました。
デンマークの教育の目標のひとつは、
自分で考えて自分で決められる人格の確立なのです。


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2005年8月5日(金)

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