前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第314回
シルクロードの破片

小学生の頃、地元の中学の文化祭を見に行くと、
展示物の中に布の切れ端があり
「シルクロードの破片」
と、説明がありました。
「絹の道」とも書いてあるので、
どうも絹で作られた道路のことらしいのでした。
そこで、小学生の私は
”なんでシルクどーろでなくてシルクロードなんだろう?
絹でできた道なんてあるのかしら?”
との素朴な疑問を持ちました。

昨年の投資考察旅行では、その”どーろ”を延々と走りました。
カシュガルからカラクリ湖へ続く、
ひと気のまったく無いシルクロードでした。
極ごく稀に、荷物を山積みに積み上げた
小単位のトラックの連なりと行き違います。
パキスタンと交易するトラックだそうです。
Qさんが「何が何でも参加してください」と、
お書きになっていましたが、本当に旅情溢れる良い旅行でした。
井上靖の「楼蘭」など、
読み終わると気の遠くなるような作品の舞台が
このあたり一帯なのです。

妻は木も草も生えていない山々の重なりが続くのを見ながら
”オサマ・ビン・ラーデンはこんな所に隠れているのかなあ”
と、考えていたそうです。
私達の車の走る狭い道路に、潰されたり、交差したりしながら
「けものみち」のような、
細い不規則な筋がどこまでも続いていました。
本物のシルクロードの、
その、あまりのささやかさに感動してしました。
石ころや土が踏み固められだけの道です。
この不毛地帯の難路を、この距離を、
欲と冒険心の力を借りて人は往復したわけです。
三蔵法師も往復しました。

Eメールで妻がこの場面を報告すると、
妻の姉から「想像して悲しくなってくる」という返事がきました。
元から持っているイメージと重なって、
持て余すほどの旅情が胸に迫ってくるのでした。


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2005年10月12日(水)

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