前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第315回
夜明けの自動販売機の奇跡

私が一時期習っていたサキソフォンのダリル先生は、
ニューヨークからやってきた中年のアフリカ系米国人でした。
楽器の演奏にはスポーツマンと同じだけの体力が必要だそうで、
フィットネスクラブでいつも体を鍛えています。

あまり売れないプロなので、
コペンハーゲンではサキソフォンの生徒を5、6人持ち、
時々クラブで演奏していました。
アフリカの楽団がやって来た時には、助っ人をしたこともあります。
ダリルが出演するというので劇場に聴きに行ったら、
皆と一緒にアフリカの民族衣装を着て演奏したのには驚きました。

ダリルがシンプルな演奏をする時は聞き惚れてしまいます。
ピアノを弾きながら歌う時も、聞き惚れてしまします。
しかし、サキソフォンの練習をしているのを聴くと、
技術的に難し過ぎる演奏をしているようで、
私には聞き苦しいのでした。
一度テレビでほんの短い間、ソロ演奏したことがありましたが、
やはり技術的に難しくアレンジした曲を吹いていました。
複雑難解に演奏するのが好きなようで、
あまり売れない理由が分るような気がします。
でも、複雑難解が好きでサキソフォンを吹いているのだから、
売れないのはしかたがないのでしょう。

ダリルは日本で暮らしたこともあり、
東京での暮しが大変気に入っていたそうです
一番のお気に入りは自動販売機で、
その話をする時は、顔中に笑みが広がりました。
思い出して
「ウーンあれはいい。夜中でもカップ・オオゼキが飲める。
カップ・ヌードルもある、アハハハ」
と、嬉しそうでした。

ジャズ・ハウスは深夜か明け方に終るので、
その後の日常生活が大変なのでした。
様々な自動販売機が、壊されもしないで大都会に立ち並んでいるのは
非常に助かることなのでした。


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2005年10月13日(木)

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