もう一ぺん大きなショックがある
(1998年8月3日執筆  『Voice』98年10月号発表)
地価とか株価はその国の経済力の象徴みたいなものである。高くなればそれだけ実力がついた証明だから、本来ならば喜ぶべきことである。
ところが、上げすぎると必ず反動があるし、上げても下げてもそのために側杖をくらう人が出る。とりわけ地価や株価の値上がりに乗りそびれた人たちは地価や株価の値上がりを目の敵にする。一頃、土地ころがしはゴロツキのようにいわれたし、地上げ屋はドロボーの手先のような扱いを受けた。
もちろん、地価が上がりすぎるのは感心したことではない。地価が上がるとマンションも高くなるし、その分、サラリーマンのマイホームは遠くなる。ではマンションが安くなったら、サラリーマンが簡単にマンションを買えるようになるかというと、そういうときは不景気になって月給の遅配や失業の心配が出てくるから、マンションを買うどころの騒ぎではなくなる。すでにマイホームをもっている人が値下がりで被害を受けてローンの支払いをする元気すら失う。地価が下がったことによって損をする人はあっても、得をする人がいないことは今度の大不況で皆が思い知ったことである。
だから「土地は高いほうがいい。バブルよ、もう一度」と叫んでみたところで地価を上げることは容易なことではない。経済が発展し、所得が年々上昇し、都会に人□が集中しなければ地価は上がるものではないからである。その半面、大量の不良債権が発生したのは、土地が値下がりして担保価値を大幅に割ったためであるから、不良債権を減らそうと思えば、地価を上げるのがいちばん手っ取り早い。
ただし、これがなかなか思うようにならない。土地が値上がりするためには資金が土地に向わなければならないが、土地を買って儲かるのでなければ、誰も土地に食指を動かしたりしない。いまのところは、安くなった土地を仕入れて加工すれば、なんとか元値以上に売れるマンション開発業者くらいしか土地に関心をもつ人はいないが、そうした需要に対して土地を売ろうとしても昔から土地をもっている人には買値と売値の差額に対して莫大な税金がかかってくる。
買い換えをしたい人の場合でも、新しく買う分には支障はないが、不要になった分を売ろうとすると同じように高率の税金をかけられる。そのために売るに売れず、買うに買えないといったことが起る。
だから土地に流動性をつけようと思えば、まず土地の売買に対する税金を大幅に引き下げるなり、一時凍結するなりする必要がある。そうした罰金的性格の税金を一時期免税にしても、それで政府が損をすることにはならない。売買がなければもともと発生しない税金だし、それを負けることによって売買が盛んになれば、登録税収入だけでもバカにならない。その結果地価が値上がりをする方向に向えば、銀行の不良債権は大幅に軽減されて、財政や日銀の負担分がうんと少なくなるはずである。
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