しかし、地価の上昇を積極的に推進しようと思えば、土地に流動性をつけるだけでは十分といえない。土地に対する需要を積極的に増やす政策が必要である。そのためにはマイホームづくりに対する奨励策を打ち出す方法もあるし、住宅スペース倍増運動を展開する方法もある。家を買ったり増築したりする資金を借入金にたよった場合、借入金の利息を経費に算入して所得税から控除することを認めれば、内需拡大の大きな刺激になるだろう。消費を刺激するために減税をやるというだけではいかにも生ぬるく、支出に対して税金を負けるくらいの消費奨励策でなければ、効き目は期待できないのである。
しかし、地価浮揚策に成功したとしても、それで景気が戻る性質のものではない。景気浮揚に成功したら地価も上がるということで、値上がりが地価にまで及んだら、やっと景気がよくなったという証明になるようなものである。そういった意味では、株価を押し上げるほうが先だろう。株価は経済界の動きを敏感に反映するし、また株価の動きに経済界も敏感に反応する。しかし、株価を上げるためには経済界の先行きは明るいという環境づくりが優先する。そのためには不良債権の整理もしなければならないし、内需の拡大(というよりも消費の刺激)も必要である。同時に、抜本的な税制改革も実行に移さなければならない。エイズの治療じゃないが、効くと思われるクスリは同時に全部投入するようなカクテル療法でなければならないのである。そのうえ、アジア全体をさらなるピンチに追い込まないような経済大国としての義務もはたさなければならないのである。
簡単な話、ここで円安を放置しておくと、次は人民元の切り下げか、それともアメリカの株の大暴落がはじまる。人民元が切り下げになれば、東南アジアや韓国はいちだんの通貨安と株安に見舞われる。それがアメリカにはねかえってアメリカに不景気をもたらすのは、そんなに遠い先のことではない。
アメリカの株価の大暴落はもうそこまで来ている。いったんその兆しが見えはじめると、株安がドル安を誘い、ドル安がまた株安を誘う。しかもそれがアジアやヨーロッパにまで波及するから世界中が安値を更新することになる。
せっかくアメリカに輸出するために生産した工業製品もすべて荒波に呑まれて太平洋の泡と消えてしまい、経済再建は一時中断ということになる。累卵の危うきにあるのは、人民元の切り下げを拒否している中国だけではないのである。
それでも中国が人民元の切り下げをしないで頑張り通すことも考えられる。その場合でも、アジアの経済不安がアメリカに転移することに変りはないだろう。人民元が切り下げられないままドルの大暴落が起るとすれば、人民元もドルとともに実質切り下げをしたことになるから、中国経済はホッと息をつくと同時に、大いに面目を施したことになる。それでもドルの大暴落による被害を避けることはできないからアジアの他の国々同様、しばらくは世界大不況のなかで鳴りをしずめることになろう。
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