一方、流通過程で商売をしている人も思いは同じである。小売業者は一品当たりのマージンは多いかもしれないが、一万円では売れる量はしれている。もし八〇〇〇円で安売りしたら一品当たりのマージンは三五〇〇円から一五〇〇円に減るが、その代わり五倍売れれば七五〇〇円になるから、倍以上の利益があがったことになる。量を売ることができれば、問屋は卸値を五〇〇円は下げてくれるかもしれない。そうすれば利益は七五〇〇円ではなくて、一万円にふえる。
いや、小売商としての売上げが少ないから問屋が間に入るのであって、もし量販が実現したら、メーカーと直接取引をすることだって不可能ではない。販売会社が問屋に卸す六五〇〇円で仕入れることができれば、一品当たりのマージンはさらに上がることになるから、問屋などは吹っとばしてしまえ、と気も大きくなる。ひと頃、「問屋無用論」が流行語になって、問屋のオヤジさんたちの心胆を寒からしめたことは、皆さんのご記憶にある通りである。
また一方、問屋のほうでも同じようなことを考える。流通革命が起こるのなら問屋が要らなくなるというが、それなら問屋が直接、小売屋をやればいいじゃないか。問屋が小売りで一万円のものを八〇〇〇円か、七五〇〇円で売れば、お客がドッと集まってくる。小売屋のなかから量販店が現われるなら、問屋のなかから量販店が現われても不思議ではないだろう。
事実、アメリカにおけるスーパー発展の歴史をひもとくと、問屋でスーパーに転身した例がたくさんある。ただ問屋は小売屋を商売相手にしており、同じ地域で小売りをはじめると取引先の猛烈な抵抗にあうから、自分の商圏の外へ出てスーパーをひらくというのが、アメリカの問屋の商法であった。
日本でも、問屋が安売り屋になった例が秋葉原や横山町あたりに見られる。しかし、問屋で量販店に進出して大成功をおさめた例は至って少ない。どうしてかというと、問屋の量販に対しては小売屋からの抵抗が多いのと、問屋という家業を現に持っている人が、その川下に進出することは、実際間題として困難だからである。問屋がスーパーに進出するのが困難だというのではなくて、一つの職業でなれてきた人が他へ移ることが困難だという一般原則が働いているということである。
←前ページへ 次ページへ→

目次へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ