5. 高利のお金に手を出すな
不渡りのおそろしさ
商売がうまく行くための条件はさまざまだが、商売がおかしくなるときの状態はいずれもよく似ている。まず売上げがおちてくる。社内で意見の対立が起こったり、手形の不渡りを食らったりして思わぬ損害を蒙る。売上げがジリ貧を続けて、黒字が赤字になり、やりくりのため、現金で払っていたのが手形になり、手形の期限が一カ月から二カ月、二カ月から三カ月に延びて行く。
業績が思わしくないことを公言できる間はまだよい。まだ恢復の見込みがあるか、恢復すべく努力しているからである。そのうちにニッチもサッチも行かなくなると、取引先にも取引銀行にも本当のことをいえなくなる。うっかり本当のことをいうと、仕入先は警戒して品物を渡してくれなくなるし、取引銀行は貸してくれる金も貸してくれないようになるからである。
一体、取引先と銀行とどちらが大切なのか、ということになると、商売人は、誰でも銀行だというだろう。取引先は顔やコネでほかにいくらでもつくれるけれども、銀行に感づかれて借りている金まで引き揚げられては、糧道を断たれるようなもので、倒産に追い込まれてしまうからである。
そこで何が何でも銀行との約束は守ろうとする。なかでも、すでに切っている手形を期日までにおとさないと、不渡り二回で銀行取引停止になるから、待ったなしである(ついでに申せば、不渡り一回なら銀行取引停止にならないというのもおかしな話で、不渡りを起こすのは、どたん場まで追い詰められた証拠であって、一回起こす人は必ず二回目も起こすことになるし、起こさない人はもともと一回だって起こすことはないのである。だから、"一度だけなら許してあげる"というのは歌謡曲のセリフじゃないが、浮気の話じゃないかということになる)。
不渡りを出すと銀行取引が停止になるだけでなく、日本では即、倒産である。銀行から金を借りるとき、約定書というのにハンコを押させられるが、そこには銀行取引が停止になったときは、借りた金は直ちに返さなければならないし、万一、返せなければ、担保物件を競売に付されても異議ない旨が書かれている。
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