第41回
人のやらないやり方を考えよう

竹田さんが「一枚の繪」を開業する前の画商は
銀座や赤坂にギャラリーをつくって
絵を買いたい人がそこへ足を運ぶ
という商売のやり方でした。
画商さんは人気のある絵描きさんのところへ出入りして、
三拝九拝して絵を描いてもらい、
かなりの利潤をとってコレクターに売りつけたので、
絵の値段も高かったし、
一般の庶民がマンションの一室に
掛けられるような性質のものではありませんでした。

それを竹田さんが一枚5万円という安い値段で、
しかも月々5千円ずつの分割払いで売り出したのも、
当時としては画期的なことでしたが、
新聞社の社長さんとして
全国の地方新聞社やテレビ局に顔がきいたので、
それらの媒体とうまくタイアップして
地方都市で展覧会をひらいて販売したのが
成功のきっかけになりました。

突然ブームになり、いくら描いても間に合わないので、
絵描きさんでも人気のある人たちは
一枚ずつ描いていたのでは間に合わなくなり、
アトリエの中にキャンバスを10枚も15枚も並べて、
右から左へ、左から右へと筆を動かして行かないと、
絵の具が乾かないということもありました。
また会場に行くまでに絵が完成しないので、
作品を運ぶリムジンの中に絵描きさんが乗りこんで
描きながら会場に向うということもありました。

いずれも高度成長が日本人の生活を
豊かにしはじめた時代の話で、
いまは普通になってしまいましたが
どんな仕事も人のやっていることを
マネしたのでは駄目です。
当時は名絵のコピーならいくらでもありましたし、
どこの家の壁にも掛かっていましたが、
たとえ無名画家の絵であっても、
オリジナルで手描きの絵を欲しいという人々の心理に
うまく訴えたのがミソです。
うどんやソバにしても、
機械でいくらでもできるようになると、
わざわざ手打ちのものを食べるために
遠くまででも足を運ぶようになります。
ちょっとしたことがヒントになって
新しいビジネスが大きく成長して行くものです。





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