第72回
「言葉と文化は一心同体です」

漢字の中には和製漢字と言って、
日本でつくられたものがあります。
辻とか峠という字はその代表的なものです。
道へんに十ですから四辻であることが
すぐにわかります。
また峠は山の上と下が分かれるところですから、
峠まで来たら、茶屋で一服というのは
日本人の常識でしょう。

でもこれが中国人には通用しないんです。
辻さんという人が名刺を出します。
それを受けとった中国人ははじめて見る字ですから
何と読んでよいかわからず、
困った顔をします。
最終的にどうするか見ていると、
十という字がありますからスーセンセイと発音して
急場を逃れます。
スーセンセイという姓は日本人にしかありません。

日本人のカナは中国人には読めませんが、
漢字の大半は読めます。
しかし、漢字の使い方が日本人と中国人では
かなり使います。
たとえば、あなたという言いまわしは日本語には
十何通りもあって漢字で書く場合も、
貴方とか、貴殿とか、貴公とか、君とか、
さまざまの書き方があります。
ところが、中国語では(ニイー)と1つしかありません。
私というのも日本語には
たくさんの言いまわしがありますが、
これは文語体の表現がそのまま日本に残ったからです。

中国での私は我(ウオー)と1つしかありません。
目上の人も目下の人も自分のことを
我というと、男も女も同じ言葉を使います。
日本語では目上の人に対して
「あなたにききますが」
なんて失礼な言い方をしませんが、
中国語の喋り方をそのまま日本語になおすと、
そういう言い方になってしまいます。
そういう言い方をしてはいけないんですと
いくら説明しても中国人には
なかなか理解できないんです。

だから、言葉を覚えるためには
その国の文化の生い立ち方から
勉強しないと駄目なんです。
よく女言葉で日本語を喋る
外人さんに出会うことがありますね。
そういう人は日本人の女性を恋人に持っているか、
バーのホステスとねんごろになっていることが
一ぺんにわかってしまいます。





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