第91回
日本人は気が変わりやすい

皆さんは子供の時から
日本語を喋って育っている人が多いので、
日本語にどんな特徴があるか
気がつかない人が多いかも知れません。
私は子供の時から学校に行ったら日本語、
家に帰ったら
台湾語(福建語の中の一種)という環境に育ったし、
長じてから英語、広東語、北京語を覚えたので、
いつも二カ国語以上の言葉を
比較する立場におかれました。

いやでもそれぞれの言葉に
それぞれの文化がついてまわることに
気づかざるを得ませんでした。
たとえば中国人は
「いい天気ですね」という代わりに
「吃飯了鳴」(ご飯食べましたか)とききます。
それは中国人がなかなか飯に
ありつけなかったからだという人もありますし、
中国人は食いしん坊で、
食事が天気より大切だと
思っているからだという説もあります。
それに対して日本人が
天気のよしあしを挨拶言葉にするのは
日本人がお天気屋だからだと解釈する人もあれば、
天気が作物の出来不出来を左右するから、
実利とつながっているのだと説をなす人もあります。

日本人が天気を気にすることは紛れもない事実ですが、
私たちがふだん使っている日本語の中で
最も頻度激しく出てくる言葉は
気という字です。
景気もそうだし、人気もそうだし、
「病は気から」という病気もあります。
「気は心」「気が小さい」「気安い」
「気持ちがよい」「気になる」「気が重い」
「気分爽快」「気持ちが悪い」「気が短い」
「気味が悪い」「気が利く」「気が多い」
「気が遠くなる」「気をおとす」「気を許す」などなど
気のつく言葉はいくらでもあります。
そう言われてはじめて「気がついた」というのも
その中に入ります。

ということは日本人の精神構造の中に
外界の刺激に対して敏感に反映する感覚が
強く働いていることがわかります。
言葉が示す限りでは日本人は情緒的な国民で
恨みを千載にわたって持続するのは
苦手だということでしょう。





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