第94回
ソロバンづくで割り切れないマイホーム

公団住宅に住んでも家は家ですが、
釘一本打つのにも
家主の許可を得なければならないのよりは、
やはり自分の家に住む方がいいですよね。
マイホームを持ちたいという夢は
どんな人にも根強くあります。

しかし、昨今のように土地も建物も一向に値上がりせず、
むしろ以前に買った家やマンションが
値下がりしたりすると、
はたしてマイホームは自分で買った方がいいのか、
それとも借りて住んだ方がいいのかと
疑問を抱く人も多くなったのではないかと思います。

住宅ローンを組んで家を買うのはよいが、
サラリーのような定期収入しかない人は
未来の収入の余剰部分が
ほとんどローンの返済にあてられ、
それこそ定年になるまでのボーナスだって
思うように使えなくなってしまいます。
これだけマンションの値段も下がれば、
いま買えばバブルのさなかに買った人のような目に
あわされたりはしないでしょうが、
一生を借金の返済に追われて、
やっと完済した頃には
もう先も長くないというのでは
バカらしいと思う人も少なくはないでしょう。

でもマイホームにはソロバンづくで割り切れない
センチメンタル・バリューというものがあります。
私が家を建てて新居に移り住んだ頃、
私の家に遊びに来た日本でも代表的な企業家の人が
「自分の持ち家なんか要らない。
計算してみると、家賃を払って住んだ方がトクだ」
と主張したことがあります。
もちろん、その人は自分の信念に従って
いまも借家に住んでいます。

しかし、それをきいたうちの奥さんは、
「あなたはそれでいいでしょう。
 でもいくら仮りの世でも
 家は借り物でない方がいいと思うのが人情です。
 娘を嫁にやる頃になっても、
 借家に住んでいるよりは、
 自分の家から娘を嫁がせたいと思う親は多いんですよ」
とその場で反撃に出ました。
そういう人間の気持ちも勘定に入れると
自分の持家に住む方がよいかどうかを考えるよりも、
マイホームを手に入れるには
どうすれば損をしないですむか考える方が実際的です。





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