第103回
突然消えたマネー・ブーム

お金のふえるチャンスのない時は
人間はオトなしくしているものですが、
もしかしたら私もお金持ちになれるかも知れないと
思った途端に、人間は欲張りになるものですね。

大した貯蓄もなかった頃は
みんなコツコツとお金を貯めるだけで、
どうやってお金をふやそうかと
考える人なんかいませんでした。
商売をやっている人とか、
新しい事業を興そうとする人は別です。
そういう人はもともとお金を儲けることが目的ですから、
債券を買ったり株を買ったりしません。
事業のために必要な資金を集めたり、
借金をして仕事を拡張したりしますが、
マネー・ブームのそとにあるお金の動きです。

そういう人たちにお金を出すのは銀行や企業の仕事で、
不確定要素が強すぎるので、
一般の投資家には向きません。
一般の投資家の目的は事業に参加することではなくて、
お金をふやすことですから、
さしづめ株とか債券とか土地とか
財産価値のあるものが対象になります。
書画骨董や貴金属宝石なども
そのなかに入れてよいでしょう。

マネー・ブームは急速に
お金がふえたことも関係があります。
一世帯当りの貯金がふえたのも、
日本の対米輸出が大幅黒字になって、
国内が通貨の大洪水になり、
それがめぐりめぐって
個人のポケットにもころがりこんだからです。
株も土地も買えばよく上がったし、
上がるともっと買う人がふえるから、
更に値上がりするということが起りました。

こんな社会現象を新聞雑誌が
傍観しているわけがありません。
どの新聞にもマネーのページができたし、
婦人雑誌はお金の記事だらけになってしまいました。
日本国中がお金のなかに浸って
溺れてしまうかに見えました。
ところが、それがある時点で、
突然、姿を消してしまったのです。
バブルがはじけ、ブームが去ると、
もう誰もお金の話をしなくなりました。
考えて見れば、これも極端すぎる話です。
10円玉ひとつ足りなくても
電車になれないことに変わりはないんですから。





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