第113回
中国のミラノ、温州に行ってきました

いまは中国の温州というところに来ています。
温州みかんで有名なところですが、
それはずっと昔の農業時代のことです。
いまの温州は中国でも最も中小加工業の発達した町で、
117万の人口の大半が洋服と靴とハンドバッグなどの
ファッション・ビジネスに従事しています。
飛行場を出て、町の中心に至る
約40分の道すじに工業団地が続いていて、
右を向いても、左を向いても、
縫製工場や皮革加工場の大きな看板が目立ちます。

どうして急に思い立って、
こんなところに来たかというと、最近書いた
「中国の旅・食もまた楽し」の中で書きもらした
いくつかの町の中で、
中国のWTO加盟と最も関連の深い町だからです。
4、5年前までは、
アメリカにアジアから輸出される繊維製品の大半は
台湾が独占していました。
台湾の人件費が高くなって、
台湾で生産しても採算に合わなくなると、
台湾の企業も次々と工場を大陸に移転しましたが、
やがて中国大陸で生産される繊維製品のアメリカ輸出が
急増するようになりました。

WTOへの加盟を前に、
対米輸出の最恵国待遇が恒久化されると、
さしづめ温州は最も恩恵を蒙る町の一つになります。
どんなレベルの製品がつくられているか知りたかったので
わざわざ土曜日曜を選んで
一番人の賑わう繁華街を何回も歩きました。

驚いたことに、町の中心街は
世界中の有名ブランドで溢れています。
ボス、アルマーニ、ベルサーチ、ダンヒル、ゼニアなど
恐らくいずれも
加工を温州の工場に委託しているのでしょう。
イタリアで加工するのが常識だったのが
いまではメイド・イン・チャイナに変わりつつあるのです。
ファッションはいつまでもイタリアと思ったら、
そのうちに間違いだったということになりかねません。
五馬衛という温州市の
モンテ・ナポレオーネ通りを歩きながら、
ここは中国のミラノだなあと改めて感慨を深くしました。


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