第168回
インターネットでキスはできません

インターネットは「情報」を乗せる
「新しい乗物」だと私は心得ています。
糸井重里さんは
家に引き込まれている水道管みたいなもので、
いい水も出てくれば、
そうでない水も出てくるという意味のことを
どこかの新聞で書いていました。

「新しい乗物」だから、
我も我もと誰もが乗りたがります。
いくら乗せても満杯にならないところが
この乗物の特長ですが、
あんまり多く乗りすぎると、
テレビのチャンネルが30にも50にもなったように、
よほど心ひかれるニュースでもなければ、
見てくれる人がいなくなってしまいます。
そういった意味では
基本的には新聞や雑誌の編集と同じで、
只の掲示板では誰もふりむいてくれません。
毎日、新鮮なテーマがあって、
それが人々の心の糧になるか、
実利につながる必要があります。
役に立つ記事があれば、
物を売る広告もあるという意味では
従来の媒体とも大体同じですね。
そのへんのところを心得ていないと、
事業をやって行く上でも、投資をして行く上でも
大きく間違ってしまうことがあります。

「情報」とは噛みくだいて言えば
「お知らせ」のことでしょう。
「お知らせ」の中には
掲示板で間に合ってしまうものもありますが、
ニュース性のあるものもありますし、
学問的なものもあります。
また広告としての役割をはたすものもあります。
それが人々の知りたいことであれば、
知った人がお金を払ってくれるし、
知らせたい人のトクになることであれば、
知らせた人の方がお金を払ってくれます。
誰がどのくらいお金を払ってくれるか
正確にキャッチすることができれば、
ニュー・ビジネスとして成り立つようになるのです。

ですから、この新しい乗物を最も有効に利用できるのは、
(1)情報の伝達(2)教育(3)健康産業
ではないかと思います。
画像や音も伝達できるのですから、
エンターテインメントの一部も
そっちへ移動するのでしょうが、
いくら心の思いを伝達できても、
キスはできないでしょう。
何事も万能というのはないものです。    


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