第171回
使って見れば実用品で間に合います

この10年間に日本人の生活の中で
一番大きく変わったのはゼイタクをすることから
卒業したことだと思います。

バブルの最中はお金をかけることが
自慢みたいな雰囲気だったので、
高い物がよく売れました。
1枚3万円でも売れなかったスカートに
10万円の値札をつけたら
すぐに売れたという話もあります。
チンチラウサギのコートは1000万円以上もしたし、
まだ生きている日本人画家の書いた画で
1枚1億円の高値を呼んだ例もあります。

単価が高ければ、それだけ売上げも伸び、
利益もあがりますから、
どこのデパートも高値ムードは大歓迎でした。
カミソリの刃を買いに行ったら、
あんなものはスーパーのレジのところに
ぶらさがっていますと言われたことがあります。

でもバブルがはじけて、サラリーが上がらなくなったり、
お金儲けが難しくなって見ると、
人々はお金を使うのを渋るようになりました。
高いゼイタク品を無理して買う代わりに、
安い実用品を買ってみると、
別に何の不自由もありません。
高い商品構成に一番こだわったのはデパートでしたが、
その結果は物が売れなくなって
売り上げが前年比、減少するという
異変を起してしまいました。

やむを得ずお客の財布に合わせて
実用品中心の品揃えになおすと、
少しは客足が戻ってきましたが、
単価が安くなった分、売り上げの伸びが鈍くなります。
お客にして見れば、
安い物を買っても着心地に変わりはないし、
お金を節約した分、トクをしたようなものですから、
ゼイタクをしないことが身につくようになりました。

質素になれて見ると、質素も悪いものではありません。
既にタンスの中も一杯だし、
無理をしてお金を使う必要もなくなって見ると、
物離れが時代の風潮になってしまいます。
具体的にはお金の使い方が変わっただけのことですが、
私はもったいぶって
「哲学が変わった」といっているのです。    


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