第197回
旅好きであれば旅の仕方も上手になる

私が自由に海外旅行ができるようになったのは
48才になってからあとのことです。
それまで私は台湾を統治していた
外来政権のお尋ね者として
香港、東京で亡命生活を送っており、
無国籍者としてパスポートも持っていませんでした。

ところが、昭和46年になると、台湾の国民政府が
中華人民共和国の国連加盟と入れ替わりに
国連から追放され、
亡国の危機に瀕してしまいました。
いままで国事犯として
WANTEDの貼紙をされていた私に
ぜひ台湾に帰って欲しいとお使いの人が
3回も東京へやってきました。
その時、駐日大使館からわざわざ私のところへ
パスポートを届けてくれたのです。

これで天下晴れて世界旅行ができるようになったと
言いたいところですが、
肝心の中華民国が
国連から追い出されてしまったあとなので、
世界中どこの国に行くのにも、
いちいちビザに代わる特別旅行証書を
各国大使館に申請しなければならなくなりました。
それでも長い間、日本国内で
「籠の鳥」にされていた反動もあって、
私はそのくらいの障害を物ともせず、
世界中をとびまわる旅に出かけるようになりました。

もうその頃には「1日10ドルヨーロッパ旅行」を
しなくてすむだけのふところ具合になっていましたが、
往復の飛行機は安売りチケットの世話になりました。
でも泊まるところはパリならリッツか、クリオン、
ロンドンなら、クラリッジか、コンノートという
一流ホテルを選びました。
飛行機の中は17時間ガマンすればよいけれど、
旅先でのホテルは2週間も続くからです。
若い時の旅は寝袋担いで行っても楽しいものですが、
支払能力があるようになってからもケチるのは
本当のケチですよねえ。
旅行の仕方だって
若い時と中年になってからでは違うし、
旅先でのお金の使い方だってふところ具合によって
違うのが当然でしょう。
「好きこそ物の上手なれ」といいますが、
旅が好きであれば、旅の仕方もしぜんに
上手になるものですよ。


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