第222回
テンポが合わなくなったらおしまい

自慢話めいて申し訳ないんですが、
私の「西遊記」は中山伊知郎先生も面白がってくれていると
中央公論の編集長さんからきかされました。
大衆文壇の第一人者からも、また経済学の第一人者からも
ひいきにされているときいて、
私はすっかり嬉しくなってしまいました。
2冊目の単行本の時は帯の推薦文を
中山伊知郎先生が書いてくださいました。

おかげですっかり元気づけられ、えんえんと何と64回、
単行本にして8冊も書き続けました。
私の「西遊記」は現代人のセンスとテンポに合わせた
「モダン西遊記」ですから、
原作の「西遊記」とはまるで違います。
でも原作を読んだことのない人は
私の書いた「西遊記」を原作と勘違いしてしまうんですね。

こんなことがありました。
テレビで私の「西遊記」をテレビ化したいからと
交渉がありました。
私は承知したんですが、その後、何の連絡もないので
どうしたんだろうと思っていたら、
突然テレビ番組で「西遊記」がはじまりました。
見ると、私の「西遊記」が下敷きになっているんですね。
私に何の挨拶もなかったのは、
私の「西遊記」は昔からあるものだから
原作料なんか払う必要がないと
誰かから知恵をつけられたんでしょう。
抗議を申し込むこともできたのですが、
私はそんなことで争うヒマがあったら、
別のことを考えた方がましだと思うタチですから
そのまま不問に付してしまったことがあります。

ですから皆さんも、私の「西遊記」を読んで
これが呉承恩の「西遊記」だと思わないで下さい。
だって読んでいるうちに
グラマンやロッキードまで登場してくるんですから、
あれから40年もたつと、グラマンやロッキード事件など
すっかり忘れられてしまいました。
私が1番おそれるのはそんなことよりも、
小説のテンポが現代人のテンポに
合わなくなっているんじゃないかということです。
そう思って読みかえして見ると、
一跳びで10万8千里は
やはりまだまだ大へんなスピードなんですね。
でも退屈したら遠慮会釈は要りません。


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