第242回
日本人の特長はグループ・アニマル

かつて日本人はヨーロッパの人たちから
エコノミック・アニマルと揶揄されたことがありました。
それをまたまともに受けとって気に病むのが
また日本人の特長で、一頃、
エコノミック・アニマルという言葉が
日本のジャーナリズムを賑わしたことがあります。

ちょうど日本の経済成長が目立ちはじめた頃で、
日本製のトランジスター・ラジオやオートバイが
世界中に売り出されているのを見て
工業生産では先輩面をしていた欧米の人たちが
悔しまぎれに口に出したのです。
ヨーロッパやアメリカの人に比べれば、
夜も昼もなくセールスに駆けまわる日本人は
「金儲けの鬼」に見えたかも知れませんが、
日本人は会社のためには
夜討ち朝駆けをもいとわない会社人間であって、
自分の利益を中心として動く人間ではありません。

生まれつき計算高くて利益を行動の動機としているのは
むしろ中国人の方で、
アダム・スミスのホモ・エコノミックスという概念は
もしかしたら中国人を見て思いついたものではないかと
思いたくなるほどです。
それをお門違いの日本人にあてはめたのは、
もともと日本人と中国人の
見分けもつかない人たちだからです。
日本人の頑張りを金銭的動機に結びつけるのは
むしろヨーロッパ人的発想でしょう。
日本人の頑張りの動機を日本人の会社に対する忠誠心とか、
帰属意識に結びつけることは
欧米人には思いも及ばないことなのです。

私は子供の頃から
日本人と中国人の違いをよく見ていますから、
日本人は個人の利益よりもグループの利益、
もしくは公共の利益を優先させる種族であることが
わかります。
上司の目の光っていない遠いヨーロッパにいても、
蔭日向なく働く日本人は
本当はエコノミック・アニマルというよりは、
グループ・アニマルと呼ぶべき存在だと思います。
日本の経済が他のアジアの国々に先んじて発展したのも、
他の国の人にないグループ優先の意識が
日本人に備わっていたからです。
そういうグループ意識が
だんだん色褪せてきたことも問題ですが。


←前回記事へ 2000年11月7日(火) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ