第256回
メシの食えるグランドも変わります

土地が値下がりするようになったのは、
土地を買う人よりも土地を売る人の方が
多くなったからです。
ではなぜ土地が値下がりするようになったかというと、
土地を押し上げる経済的な要因が失われ、
土地が値上がりしなくなると、
土地を財産として持とうと考える人が減り、
それに伴って土地に対する仮需要、
つまり土地に対する投機資金の流入も
とまってしまったからです。
その上、不良債権の整理による
土地の換金売りが重なっていますから、
土地の値下がり傾向はなかなかとまらなくなっています。

ふりかえって見ると、土地の値上がりは
高度成長の寄生虫のような存在です。
高度成長によって新しい富が生み出されると、
その中から分け前をもらった人々は
(会社の留保金も含めて)マイホームを建てたり、
新工場を建てるために土地を買いに向いました。
工場の集中する大都市とその周辺の土地が
一番値上がりをしました。

しかし、生産がほぼ飽和状態に達し、
新しい付加価値の増大が実現できなくなると、
土地に流れる資金もふえなくなります。
サラリーマンたちのマイホームの夢が
ほぼ一巡したこともありますが、
最大の原因は何と言っても
生産がもたらす富がふえなくなったことです。
寄生虫の吸う血がなくなってしまえば、
寄生虫だってそう長くは生きておられません。
恐らく今後、景気が多少恢復しても、
高度成長期のような勢いはありませんし、
大地震や戦争で住む家が大量破壊されない限り、
土地神話が復活することは期待できないでしょう。

となると、土地の開発をしたり、
住宅を新築して販売する商売は残るでしょうが、
かなり地味な業種になる筈です。
これから一旗あげて立志伝中の人になりたい青年の
新しく選ぶ分野ではなくなってしまいます。
次の舞台となると、IT関係か、
グローバルな展開が可能な業種ということになります。
メシの食えるグランドもすっかり変わってしまいました。


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