第434回
農産物のブランド化ができますか

テレビを見ていると、
若いサラリーマンが会社を辞めて帰農する場面が
時々、映し出されるようになりました。
役人生活に嫌気がさして故郷に帰る話は
陶淵明の昔からあって
別に珍しいものでも何でもありませんが、
村を捨てて都会に走った人たちが
再び村に帰る話ではなくて、
田園生活を知らない都会の青年たちが
生活のスタイルを変えるべく、
職業として農業を選びたくなる気持は
わからないでもありません。

都会生活には刺激がありますが、
刺激と思ったことでも
慣れてくると刺激ではなくなってしまいます。
そこから脱却してもう少しましな生活を求めて
田園に戻るのは悪いことではありませんが、
「田園まさに荒れんとす」にさしかかっている日本で
土に帰ろうとしても、方向を間違えないように、
よほどいいアイデアを持って臨まないと、
メシのタネにならないし、恐らく長続きがしないでしょう。

戦前、人口の50%を占めていた農民の大半が
国をあげての工業化で農業から工業へ移り、
農村地帯は典型的な過疎地帯になってしまいました。
農村の子供が町へ移り、
故郷に移った人たちも平日は勤めに出て、
休みだけ畑に出る日曜農家になってしまったので、
専業農家は10分の1の5%ていどになってしまいました。
ということは、農業は労働の割りに収入は少なく、
若者たちにとって
魅力のない職業の一つになってしまったということです。

現に葱や、生椎茸のセーフガードで
騒いでいるのを見てもわかるように、
商品に生産者のブランドがついていないような農産物では
値段で競争するよりほか方法はありません。
コストの中で労賃しか差がないとすれば、
生産地は労賃の安い地域に動くのは経済の原理です。
それに対抗して生き残ろうとすれば、
ブランド商品をつくる以外に妙案はないでしょう。
お米だって、野菜や果物だって、
ブランドで売れるだけの自信がなければ、
帰農は一場の夢で終わってしまします。
私の友人の中には
ちゃんとそれができている人が居るんです。


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2001年5月18日(金)

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