第433回
農業こそ一大変革期に来ています

コストの安いところに行って生産するのは
農業より工業の方が障害が少なくて済むようです。
工業には工業先進国があり、
先進国の資本進出や技術指導がなければ、
どうせろくな物はできないだろうと
タカをくくるところがあるのでしょう。
その場合でも先進国並みの水準に達するまでに
かなりの時間がかかるからでもありましょう。

ところが、農産物になると、
労賃の安いところで生産すれば、
間違いなくコストの安いものができます。
労賃以外は自然が育てあげてくれるものだからです。
先進国はどこにも農民がいます。
国としては全く農業がなくなってしまうことに対する
不安もありますから、
農民を保護するために農産物の輸入を制限したり、
高率の関税をかけて
外国から農産物が入って来ないようにします。
EUのような先進地域が依然として農業国であり、
農産物の輸出国であることに
意外性を感ずる日本人は多いでしょう。
考えて見れば、アメリカだって農業国であり、
農産物の輸出国なんですから。

それに対してかつての農業国だった
日本、韓国、台湾で工業化がすすむと、
食料品の半分は外国に仰ぐようになったのですから、
万一、工業の基礎がゆらぐようになると
大へんなことになります。
農産物の供給を外国に仰いでいるのに
外貨の支払いができなくなるからです。
しかし、工業化に成功した国々では
工業の衰退よりも農業の衰退を心配します。
工業製品の範囲は広いし、
改良の余地がたくさんありますが、
農産物は競争に打ち勝てないとなったら
手の施しようがないからです。

葱とか生椎茸とかニンニクなどは
いずれ勝目はないでしょう。
石炭が石油に勝てなかったようなものです。
それに比べれば日本の米や牛肉は
アメリカでも香港でも売られています。
日本の農民も日本の工業と同じように
生き残れる者だけ生き残るでしょう。
芸術作品を作るような園芸型の農業を志すことです。
農業こそ一大変革期にさしかかっていると
言ってよいでしょう。


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2001年5月17日(木)

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