第436回
農業は国内でやるものとは限らない

いま日本の農業は2つの方向に向って走っています。
1つはできるだけ安くつくって
安い値段で消費者に供給するには
どうしたらいいか考えることです。
どうせ食べる物の半分は不足して
外国から輸入しないとやって行けないのですから、
自分たちに都合の悪いのは輸入禁止にして、
都合のいいのだけ輸入するというわけには行きません。

自国内で安く供給のできない物は、
輸入をするか、外国へ行って自分たちで作って
日本へ輸入すればいいのです。
農業は先祖代々受けついできた農地の上でやるものとは
限りません。
どこでもソロバンに合えば、
そこに行ってやればいいのです。
また家族労働だけでやるのが農業ということもありません。
安い労働力を使って大きなスケールで
近代経営の方式でやってもいいのです。
また農家と契約して作物を買い上げて現地で加工してから
日本のみならず世界中に供給してもいいのです。

漬物の材料にする茄子や大根を海外でつくらせて
現地で塩漬けにして日本に運ぶ仕事は
ずいぶん昔からやっています。
あまり目立たなかったのは
漬物屋さんが材料は外国製であることを
人に知られたくなかったからです。
枝豆やキヌサヤなどは現地の加工工場に集めて
急速冷凍にかけてから日本に運んでいます。
葱や生椎茸が苦情の対象になったのは、
ナマ物でしかも急激に数量がふえて目立ちすぎたのと、
値段が違いすぎたからでしょう。
でもこの方向に農業を変えているのも日本人なら、
ボヤボヤして昨日と同じことをくりかえして
メシの食い上げになっているのも日本人です。
政治家やお役人さんがボヤボヤしている人たちに
一時的に息をつかせることはできても、
この方向を変えさせることはできないと思います。

もう1つは日本国内に残る農業は何かということです。
恐らく外国の安い農産物の勢力があっても
立派にやって行ける農業に限ることになるでしょう。
松坂肉と同じように、どんなに高くても
人が喜んで買ってくれる農産物に焦点を絞ればいいのです。


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2001年5月20日(日)

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