第437回
トマトの原産地はアンデス山脈の中です

私の古くからの友人で、永田照喜治さんという人がいます。
この人はだんだん旗色の悪くなって行く農業を
如何にして建て直すかに情熱を傾けて生きてきた人です。
私のオフィスに来る時も、
世界中、原産地までトマトやキャベツが
どういう育ち方をするかを見に行く時も、
いつも畑に出る時と
同じ作業服を着たままやって来る気さくな人です。

永田さんを私に引き合わせたのは、
前にもふれたことのある名プロデューサー小谷正一さんで、
私も小谷さんも衰退する農業を
どうやって再生させるかにとても関心を持っていました。
永田さんが最初に私のところへ持って来てくれたトマトは、
ご自分が長崎県の旧造船所の跡地で
指導してつくらせたものでした。
トマトと言っても、
スーパーや八百屋さんで売っているトマトと違って、
糖度がその3倍も5倍もあるような甘い甘いトマトでした。

私はトマト嫌いで、トマト・ジュースも飲まないし、
特にアメリカ人がオムレツの上にぶっかける
トマト・ケチャップはテーブルから下げて欲しいと
ウエイターに言うくらい敬遠しています。
その私が一口噛んで
「これはトマトじゃありませんね」
と叫んだのですから、どのくらい美味しかったか、
おわかりいただけると思います。

トマトの原産地はアンデス山脈の山の中で、
自然に生えているのを見ると、
石ころだらけの痩せた土地に水も肥料もなく、
何とか生き延びようと、
枝や葉や葉から細かい毛を出して空気中の水分を
必死になって吸収しているのだそうです。
その結果が甘い甘いトマトになっているのを見て、
永田さんは「これだ」と合点し、
日本へ帰ってから、
原産地通りの条件でトマトの栽培をはじめました。
それも真先に斜陽化の激しかった造船会社の空いた土地で
会社で要らなくなった人たちを
指導してつくらせたのだそうです。

私はとても気に入りましたが、
イトーヨーカ堂と西武百貨店の特定の店で、
3個500円で売っているときいて
「高い!」
ともう一度叫んでしまいました。


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2001年5月21日(月)

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