第442回
工業的豊作貧乏は日本がトップ・バッター

いよいよ本格的なデフレの到来ですね。
いま日本を先頭に世界中の先進国が遭遇しつつあるデフレは
かつて人類が経験したことのない新しい形のデフレだと
私は思っています。

デフレは1929年のアメリカの大恐慌の時にもありました。
それ以前にも偶発的にありました。
物ができすぎて、
供給が需要をオーバーすると起る経済現象です。
1929年の時は自動車の生産過剰によって
惹き起されたという人がありますが、
70年前といまとでは工業生産が国民経済に占める比率に
格段の差があります。
70年前は何と言っても、
農業生産を中心とした産業構造で、
それに軽工業の加わったていどでした。

それでも新興アメリカからヨーロッパへの輸出がふえて、
アメリカがヨーロッパのお金を稼ぎ、
アメリカは好景気に沸いていました。
お金持ちだったイギリスは世界中のお金を集めて
他の国々に投資をしていましたが、
これが必ずしもうまく行っておらず、
ポンドは弱含みだったのですね。
そこでポンド債が売り込まれ、
逆にニューヨーク株は好景気に沸いたのですが、
或る日その反動が来てそれがきっかけで、
アメリカの消費が減退し、
過剰生産が一気に表面化してしまいました。

80年代からこの方、アメリカに工業製品を大量に売って
ドルを稼いできた日本でバブルがはじけたのと
よく似ていると思いませんか。
よその国に先がけて日本が先ず不況に苦しむようになり、
お金もあり、物もあるのに、
物が売れなくなってしまったのです。
アメリカから内需を拡大する努力が
足りないと叱られていますが、
日本の政府が努力していないわけではありません。
いくら努力しても内需が拡大しないのは、
日本が他のすべての国々に先がけて
豊作貧乏におちいってしまったからです。

それも70年前の農業を中心とした
豊作貧乏ではありません。
工業生産によってもたらされた豊作貧乏ですから
相当の重症です。
よく考えて見て下さい。
工業的生産能力では日本が世界の先頭に立ってるのですよ。
アメリカも経験したことのないことを
日本がはじめて経験しているのです。


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2001年5月26日(土)

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