第535回
現地人幹部の教育はその次の仕事です

外国人にはその国の人に見えないものが見えるんです。
たとえば、日本では交通信号が赤になると、
次に青になるまで歩行者はおとなしく待っています。
中国人がそれを見ると、とてもびっくりして、
「日本人はきちんと法律を守る国民ですね」
と感心します。

また信号のないところで、
歩行者が車道を横断しようとすると、
走ってきた車がスピードをおとしてとまり、
歩行者を通します。
歩行者が信号を無視して車道にとび出したり、
逆に車が歩行者を無視して
突っこんでくることに馴れた中国人にとっては、
日本人は公徳心のある国民に見えます。

同じように、日本人が中国に行って、
自動車の洪水と人波のぶつかり合うところを目撃すると、
その無秩序ぶりに舌を捲きます。
その割りに交通事故がないのにも驚きますが、
これは人々に事故に捲き込まれないだけの
知恵が働いているからです。
一事が万事この調子ですから、
見るもの、きくもの、経験すること、
みな勝手が違って時には嫌気がさすこともあります。
世間で起こるそういう理不尽な出来事は
立ち向かう術もありませんから、
どうしても守勢に立たされますが、
自分たちの会社の中のこととなると、
自分の方が正しいと思えば、正しいやり方に固執します。
とりわけ工場内の管理とか、取引のやり方などは
自分に納得できないことはやれませんから、
しぜん日本流のやり方が持ち込まれます。
それが進出先に新風をもたらすことになるのです。

そういうやり方を一番早く消化できるのは
やはり何と言っても日本人でしょう。
気は心というけれど、
同じ空気で育った人間だとすぐに心が通じます。
だから、海外で働く幹部も、
日本の本社から派遣するよりも、
現地なり日本国内なりで、日本人を募集して、
仕事を覚えるために本社などで訓練して
現地で働くようにしたら、
ずっと効果的だと思います。
現地人の幹部を訓練する仕事は
そうした日本人の現地幹部にやってもらえばいいのです。


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2001年8月27日(月)

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