第534回
違いのわかる日本人を育てるのが先

海外に進出する企業は当然のことながら、
将来、現地で幹部になる現地人を
訓練教育しなければなりません。
そのために日本留学に来て、
日本の大学を卒業した中国人青年を採用して
海外事業部においている会社をしばしば見かけます。

それはそれで1つの方法ですが、
日本で採用すると、
日本人の給料に準じて給料を払うので
中国人留学生は大喜びですが、
中国に行きたがらなくなるし、
現場の実情に通じないばかりでなく、
現場で使えなくなってしまいます。
仮に本人が志願して現場に行くとしても、
日本にいる時より給料を削ることはできないし、
同じ職場で働いている同年配の中国人と
給料が10倍以上も違ってしまうと、
意思の疎通がきかなくなってしまいます。

時々、日本の進出企業で労働争議が起こったりしますが、
大抵の場合(ほとんど十中九まで)
生産の現場と日本人との間の風通しが
悪くなっていることに原因があります。
それは言葉のできない日本人と
現場の間に介在している日本語のできる中国人のところで
パイプが詰まっているからです。

私は中国進出のプランを持った多くの社長さんたちから、「中国でも台湾でも、
 現地で使える青年を世話して下さいませんか」
と頼まれます。
なるほどそれも一理あると考えて、
台湾のインターネットで
「職業が君の一生を決定する」というホームページを
執筆していますが、反応がいまひとつパッとしません。
情熱を持って一つ仕事に打ち込むよりも、
もっと待遇のいい仕事があったら、
そっちへ動こうというのが
転職の動機になっている人が多いからでしょう。

そういう人たちに呼びかけるくらいなら、
現地に行って
一からスタートする情熱を持った日本人を訓練した方が
実際的であることに最近やっと気がつきました。
なぜなら経験不足であっても、
日本人で進取の気性のある青年には
違いに気づく目があるからです。
ここのところが大切なんですね。


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2001年8月26日(日)

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