第560回
温州・寧波・紹興は美食街道です

日本でも中華料理屋に行くと、
ワンタンのスープを出してくれるところがあります。
ワンタン麺と言って、麺の中にワンタンの入った汁ソバは
広東人の最も得意とする点心の一つですが、
麺の入らないワンタンだけのスープは
温州飩が最高の美味です。
台北に行っても
あちこちに昔の面影を残した
温州ワンタンの店がありますが、
蒋介石の田舎である浙江省の食べ物ですから
きっと蒋介石について台湾に逃げ込んだ人々の
思いがこめられているのでしょう。

台北では一ぺんも食べに入ったことのなかった私が
温州に来て、ホテルの人に教えられて
県前湯円店という店に入って食べたのが
大へんな美味だったので、
以来、病みつきになってしまいました。
この店の最大の売物は
何と言っても湯圓と呼ばれるモチ米でつくった圓子です。
美味と言っても
一杯がたったの3元(1元は15円)ですから、
予約だって受けつけてくれません。
昼食時は行列が出来てしまいますが、
それをはずせば、食券を先に買うだけで、
いつでも席につくことができます。
道を歩くと、屋台でもワンタンを出している店が多く
値段ももっと安いようです。

私たち一行が夕食をとった温州酒家は
私が気に入った温州料理の老舗ですが、
この店のある五馬街一帯は
ミラノのモンテ・ナポレオーネのような
ファッションの町です。
若い人たちの着るコットンや化繊の衣類が多いのですが、
ユニクロのような格安の店がズラリと並んでいるので、
何でも手当り次第に買っても財布が痛む心配はありません。
靴やカバンなども
気のきいたデザインのものがたくさんあります。
「こちらは台湾から進出した企業の店です」
と広告しているところもありましたから、
メーカーとして台湾の方に一日の長があると
町全体の人も認めているということでしょう。

温州から北上して寧波に到着するまでに
バスで6時間あまりかかります。
寧波は遣唐使や留学僧が出入りした港で、
鑑真和尚も最澄も道元もここに足跡を遺しています。
また寧波料理はわざわざ食べに来るだけの
値打ちのある中華料理の一つです。


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2001年9月21日(金)

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