第598回
売上げ10%減で利益が全額吹っとぶ

企業の業績がマイナスに転ずると、
どういうことが起るかご存じですか。
たとえば売上げが10%減ったら、
利益も10%減ると思ったら大間違いです。
10%減っただけで
前年度まで計上されていた利益が
ほとんど吹きとんでしまうのです。

仮にデパートやスーパーの決算を例にとりましょう。
日本のデパートもスーパーも
いま軒並みピンチにおちいっていますが、
少し前までは2%くらいの利益を計上していました。
年に2000億円の売上げで20億円の利益をあげておれば、
中型デパートとしてはまあまあの業績です。
粗利が2割として
諸費用を控除した残りが40億円としたら、
売上げが1割減ると、利益も1割減るのではありません。
どこの会社にも採算分岐点というのがあって、
1800億円の売上げのあったところで
収支トントンになるとすると、
あとの200億円の粗利40億円が
利益として計上されるのです。

ですから、もし売上げが1割減ると、
収入はトントンになり、
更にそれを割ると赤字に転落してしまいます。
実際には赤字になりそうになると、
必死になって経費の節減につとめますから、
赤字はそんなに多くはならないでしょうが、
基本的な方向に変わりはないでしょう。
つまり企業の採算は
業績の上昇期には対処がしやすいのですが、
逆の方向に向いはじめると
まるで勝手が違ってしまうのです。

デパートやスーパーが
どこから手をつけてよいか困惑しているのは
こうした悪環境におかれるようになったからです。
アメリカもIT産業の好況に恵まれて
10年あまりいい思いをしましたが、
それがほぼ天井をついたところで
トレード・センターから火がついたところです。
デパートやスーパーの決算に起ったことが
これから航空会社・ホテルに起り、
やがて全産業界に伝染するとすれば、
株価の値下がりと失業の恐怖から
消費者が一せいに財布の紐を締めにかかるでしょう。
するとこの10年間に日本で起ったことが
アメリカでも再現します。
不景気をもてあますことでは
日本の方が少しばかり先輩なのです。


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2001年10月29日(月)

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