第599回
付加価値の大半が日本から消えた

日本の大不況はテロからはじまったものではありません。
輸出不振からはじまったものでもありません。
メイド・イン・ジャパンの工業製品が
過剰生産におちいって、
メイド・イン・ジャパンの最大の顧客である日本人が
もうたくさんだと言って買わなくなったからです。

日本が国境の壁を意図的に高くして、
安い外国製品に接する機会を遅らせたのも、
日本の物価を高くする原因の一つでした。
1ドル120円として、
日本人がアメリカのスーパーに行って物を買うと、
日本の半額ていどで物が買えます。
つまり日本のサラリーマンの半分のサラリーで、
アメリカ人は日本人と同じレベルの生活ができるのです。
もし日本人と同じサラリーをもらっていたら、
アメリカ人は日本人より
ずっと豊かな生活ができることになります。

日本の消費者がそうした物価に慣れて何の不平もなければ、
それでもかまいませんが、
メイド・イン・ジャパンが過剰生産に入ってきたのと、
グローバル化によって
より安い外国製品が自由に輸入できるようになると、
どんな値段でどんな物を買うかは
消費者が決めることになりました。

日本人は物づくりにたけた国民ですから、
外国から安い商品を仕入れるよりも、
外国に行って日本国内でつくるよりも
安い商品をつくって輸入する道を選びます。
ですから今日、
中国や東南アジアから輸入されている工業製品の大半は
日本人が外国へ行って自分たちで生産している物です。
自分で自分の座っている
椅子の脚を削っているようなものですが、
国内産業が地盤沈下することに変わりはありません。

いまや安売り屋で売っている電気製品は
ほとんどが海外で日本のメーカーが生産している物に
変わってしまいました。
日本人が自分でやらなくともそうなったでしょうが、
生産から生ずる付加価値の大半は
日本の国土から姿を消してしまったと思って
間違いありません。


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2001年10月30日(火)

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