第656回
ことし最後の本「金持ち気分で老後を」

「金持ち気分で老後を」、という本は
ことしになってから16冊の、
そして、ことし最後の私の本です。
出版業界が不況な中で、
こんなにたくさんの本を出すのは
読者迷惑、はた迷惑もいいところですが、
前にも申し上げましたように、
「77歳で死にたい」という本を書いた私が
77才の今年に連載を完結する予定で
執筆を集中したせいもあります。
それが死なないばかりか、
この通りピンピンしていますので、
次々と企画を申し込まれ、
消えかかった石油ストーブの最後の焔のように
燃え上がっているところです。
「金持ち気分で老後を」、はタイトルの示す通り
老齢化時代を生きる知恵について書いた
私の数々の著作の中から抜粋したものです。
私が老齢化社会の到来を予想して
「年をとらない方法」
(のちに“人生後半のための生活設計”と改題)
を書いたのが昭和42年、私が43才の時でした。
あれから35年の歳月がすぎてしまっています。

その間、
無意識に老齢化社会について書いた本が何十冊にものぼり、
PHP研究所が邱永漢箴言集として
1冊にまとめられるほどの量に達したのだそうです。
「金持ち気分で老後を」という題を
出版部の人たちがつけたのは、
私が海外旅行ブームを想定して自分の書いた旅行の本に
「金持ち気分で海外旅行」と名づけたところ、
意外な売行きを示し、
いまなお文庫本としてロングセラーズを続けている
その幸運にあやかりたいからのようです。

「バカでもわかる幾何学」というタイトルよりは
「秀才の幾何学」の方がスムーズに受け入れられるように、
「1日10ドル貧乏旅行」よりは
たとえふところが淋しくとも
「金持ち気分で海外旅行」の方が
気分がよいにきまっています。
年をとるのも決してそんなに快適なものではありませんが、
意識して「金持ち気分で」
生きるにこしたことはありません。
老人にまだ手の届かない人には用のない本だと
思ってはいけません。
老人になる前に読んで老人になった時に備えるのが
この本なんですから。


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2001年12月26日(水)

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