第655回
生命がないよと言えばお金を出します

もう一つ、老人が財布のヒモをゆるめるケースがあります。
それは年をとって病気になって「死にますよ」と
宣告された時です。

お金がなくなったら大へんだと思うのは、
いつまで生きているかわからないからであって、
死ぬぞと言われたら、
いくらお金を持っていても役に立ちません。
健康を恢復することができたら、
どんなお金だって払う気になります。

いまの人は自分の家で畳の上で死ぬよりも
病院のベッドの上で死ぬことが多くなりました。
最後の医療費は健康保険もあることだし、
金持ちと貧乏人の違いは個室で死ぬか、
大部屋で死ぬかくらいのことになってしまいました。
もちろん、お金のある方が看護も行き届くだろうし、
周囲からも大事にされるでしょう。
しかし、生命を大事にすることについては、
金持ちも貧乏人も変わりはありませんから、
それぞれの分に応じて散財を覚悟します。
また健康のためになることにもお金を使います。
したがって健康産業に分類される分野の事業は
老齢化社会の成長産業にあげることができます。

いまは寝たきり老人がホットな話題になっていますから、
介護保険とか、老人ホームだけが政治問題化しています。
しかし、65才すぎても、寝たきりになる人よりは
元気で自分の足で歩ける人の方がずっと多いのですから、
その人たちの健康をどうしたらうまく維持できるかが
産業界にとってはずっと大切なテーマです。

最近は青汁とか、野菜スープとか、
健康食品がブームになっていますが、
これは老人マーケットというよりは、
まだ老人の仲間入りをしていない
中堅層の人気を呼んでいます。
広くはエステティックからゴルフや水泳まで、
自分が身体を動かすスポーツも健康産業の守備範囲です。
どれをとりあげても、物をつくる商売ではありません。
それでもお金を払ってくれる人があれば、
それなりに付加価値を生み、
儲かれば課税の対象になります。
物づくりだけが富の源泉ではないのです。


←前回記事へ

2001年12月25日(火)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ