第659回
日本人はお金の運用法を知らない

日本人の金融資産が1400兆円あると言われても、
あまりピンと来ないかも知れません。
自分の銀行預金通帳や定期預金証書や保険証書を見ても
あまりにもかけはなれた数字だからです。
でも一人一人の持っているお金を合計すると、
そんな天文学的数字になるのです。

これらのお金がすぐいつでも
自分の自由に動かせるというわけではありません。
解約すると手数料をさしひかれて
いくらも残らないものもありますし、
また相場があって時価によって目減りするものもあります。
更にまた皆が一せいに現金に換えたいとか、
現金で引き出したいといって銀行に駈けつけたら、
そのお金が返してもらえないということも起ります。
債券になったり、株券になったり、
あるいは、企業に貸しつけたりしているお金は
みなが一せいに換金しないことを前提として
成り立っているものだからです。

これらの莫大な金融資産はこの半世紀、
日本人が工業化に成功して、
付加価値を生み出すことによって築きあげたものです。
それを資本として活用すれば、
もっと多くの付加価値を生み出す可能性を持った
大きな財産です。
ところが、日本人の大半は
自分の身体や頭脳を働かせて富を生み出し、
その分け前にあずかることには熱心ですが、
その結果もらった分け前をどう動かしてふやすか、
つまりお金にお金を生ませることについては、
それほど熱心ではありません。

自分で株を買ったり、国債や社債など
利付き債券を買う人もないことはありませんが、
平均的日本人は毎月の収入とかボーナスでもらったお金は
一先ず銀行や郵便局にもって行って預金にしてしまいます。
当分使うあてのないお金は定期預金にして
少し高い利息をもらいます。
銀行はそういうお客さんから預かったお金を
企業に貸したり、公社債にしたり、
為替の売買をしたりして利ザヤを稼ぎます。
つまり資金の運用は銀行の仕事であり、
お金の持ち主は何もやらないで
雀の涙ほどの僅かな預金利息をもらうことで
満足しているのです。


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2001年12月29日(土)

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