第696回
中国でビルを建ててはいけません

経済が発展途上にある中国のことですから、
日本の不動産業者は当然、目をつけます。
殊に開放政策がはじまった直後、
北京や上海など外国企業の進出の盛んな所では
ビルや高級マンションの不足が目立ちましたから、
日本から進出したマンション業者は、
商社の不動産部を含めて、
1社や2社ではありませんでした。
でも今日、なお営業を続けている企業は
1社もありません。
売るに売れず、辛うじて賃貸しをやっている程度の
業者しか残っていません。

どうしてかというと、
日本人にとってあまりに勝手が違いすぎるからです。
先ず建築許可をとることの難しさからはじまって、
監督官庁からの横槍があとをたちません。
排水溝やガス電気を通すだけでも
大へんな根まわしを必要とします。
建築材料を輸入する場合、
税関から税務署まで何重もの難関が控えています。
私は同時に4ヶ所で
建築にとりかかったことがありますが、
どこも一難去ってまた一難、
いまはすべて完成しましたが、
もう1度同じことをやりますかときかれても、
もうたくさんですというほど
疲れてしまいました。

その上、国営の不動産開発会社と
競争をしなければなりません。
私たちは自分のお金ですから
採算を考えて行動します。
ところが、中国の国営不動産会社は
国のお金ですから、
採算を無視して競争をしかけてきます。
上海の浦東でビルが乱立して
家賃が10分の1まで大暴落しているというのに、
国営の不動産会社は次々とビルを建築にかかります。
それも上海の不動産会社だけでなく、
地方各省所属の企業が上海に進出してきて
大ビルディングを建てるので、
シンガポールや香港や台湾から進出してきた
華僑の不動産会社は
倒産か倒産寸前まで追い込まれてしまうのです。

そういうさんざんな目にあって私が覚えたことは
中国では不動産の開発をやるよりも、
業者が建てた建物の中から有望なものを手に入れて
賃貸しに出す方が安全だということです。
そういう目で見ると、
上海も北京もいよいよこれからが
本番だという気がします。


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2002年2月4日(月)

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